幕間 雪花の簪
幕間 第一話☆
*京極天明視点です
これは、如月が朱天との戦いで休んでいる時の話である。
季節は真夏であり、月明りの綺麗な夜だった。。
導き手の一人である
導き手の中で最も年上であり、最も長く導き手を務めている。
また、南の名家、京極家出身である。
彼は今、二紋様と対峙していた。
先に戦っていた
京極は冷泉に手当てをさせる。
冷泉奏介もまた、導き手だ。
如月や西園寺と同い年で、北の名家、冷泉家出身だ。
(これが二紋様か。今まで戦ってきた紋様持ちとはまた違うね)
京極は目の前の付喪神を冷静に分析していた。
額に二つ紋様があり、両方とも雪の結晶を模しているようだった。
髪は長く、手には氷でできた銃を二丁持っている。
「その気配、お前も導き手か」
「そうだね。僕は京極天明。よろしく」
「そうか。俺は刹那」
刹那はそう言うと、京極に向けて発砲する。
パンパン!!
京極は刀を振るい、氷の弾丸を砕く。
「いい反応だ」
刹那はそう言い、更に発砲してきた。
京極は弾丸をはじきながら刹那との距離を詰めていく。
「舞刀術
京極は水平斬りを放つが、刹那に躱されてしまう。
「妖術 乱れ撃ち」
刹那は二丁の銃を京極に向け、百を超えるほどの弾丸を放った。
(百を超えるほどの弾丸。重点の必要がないから、まさに無限の弾丸だね。受けきれるかどうか)
「舞刀術
京極は自身の周囲を斬りつける。
そうして、すべての弾丸をはじいた。
「お前、あっちの奴より強いな」
刹那は冷泉のほうを指さして言った。
「あいつは、俺の乱れ撃ちを防ぎきれなかった」
「僕は一番長く導き手をやってるからね。まだまだ負けないさ」
そう言って刹那に刀を振るう。
刹那は飛び上がり、銃を撃った。
「普通に撃っても、お前は全て弾くだろう。仕方ない、、、妖術
刹那は京極とは違う、明後日の方向に弾を撃った。
(弾の速さがさっきまでと違う、、、これは、、、)
「貫け」
刹那がそう言って途端、弾から鋭い氷柱が飛び出る。
「おっと、、、舞刀術 砂嵐」
すべてを砕く。
刹那はさらに発砲する。
キンキンキン!!!!
京極は刹那に接近して刀を振るう。
「近距離で銃は分が悪いな」
そう言って銃を消し、新たに剣を生み出した。
そして、二刀の剣を振るう。
「近接戦もこなせるのかい」
氷の剣は固く、砕けない。
ガンガンガンガン!!!!
お互いにぶつかり合う。
(かなりの剣術だな。武器を自由に変えられるから、かなり万能型か)
京極が斬られた。
(今のは完全に間合いの外だった、、、僕は躱したはず。まさか、剣の長さを変えたのか)
血が垂れる。
刹那はさらに京極に斬りかかる。
当然のように剣の長さを変えて。
だが、京極はそれも考えて対処していく。
「一度見ただけで俺の剣の変化に気づくか」
そう言うと、氷の斬撃を飛ばす。
「本当に何でもありだね、君は」
苦笑いしながら斬撃を砕く。
そのまま接近するが、刹那の剣に防がれる。
そこへ、、
ヒュッ
冷泉も復帰してきた。
「すみません」
「大丈夫なのかい、冷泉君」
「ええ、何とか」
そして、二人は刀を構えなおした。
「もう復活したのか。仕方ない、、、妖術
刹那がそう言った途端、空が曇り始め、しばらくすると雪が降り始めた。
息も白くなる。
「夏なのに、雪、、、?」
京極がつぶやく。
「俺が扱うのは氷だからな。まあ、この時期にやるのは少しきついが」
そう言うと、刹那は二人に銃を撃った。
二人は弾丸を砕く。
「舞刀術
京極は地面を抉るほどの踏み込みで刹那に接近し、刀を振るった。
刹那はかがんでそれを回避し、京極に銃を向けた。
「舞刀術
冷泉が斬撃を飛ばし、氷の銃を破壊する。
「舞刀術 流紋岩」
そのすきに、京極は刹那の首に刀を振るった。
しかし、刹那は剣をすぐに作り出し、防ぐ。
そして、片方の銃で発砲した。
「くっ」
京極は距離をとる。
剣を銃に変え、二丁の銃で発砲する刹那。
雪が視界を隠し、京極と冷泉の反応を遅らせる。
また、温度も下がっており、二人の体温を奪っていた。
「舞刀術 砂嵐」
「舞刀術
二人は、周囲を斬りつけることで飛んでくる弾丸を防いでいた。
「舞刀術 地割れ」
なおも刹那に接近する京極。
刹那を挟んで反対側から冷泉も斬りかかる。
「ほう、挟み撃ちか。ならば、妖術 氷柱結界」
刹那は全方位に乱射し、その弾から鋭くとがった氷柱を出す。
京極も、冷泉も氷柱が刺さってしまう。
冷泉はすでに多くの血を流しており、さらには白い気が出るほどの気温。
動けているのが不思議なくらいだった。
それでも冷泉は前へと進んだ。
「あああああああ!!!」
刹那の首に刀が届く。
「離れろ」
刹那は二丁の銃を冷泉に向けて撃とうとした。
「舞刀術 流紋岩」
京極がそれを阻止しようと、両腕を斬り落とす。
そして、、、
刹那が腕を再生するより先に、冷泉の刀が刹那の首を斬り落とした。
刹那の身体が消えていく。
最期に残った、雪花の簪。
それもまた消えていった。
刹那の首を斬ると同時に、冷泉もその場に倒れてしまう。
「おい、しっかりしろ」
京極が声を荒げる。
「京極さん、、、迷惑かけて、すみません」
弱弱しく冷泉が言う。
「俺、弱かったですよね」
「弱くない。僕の方こそ、守れなくて済まない」
「導き手なのに、、、俺、何もできなかった。。。」
「首を斬ったのは冷泉君だ。君は立派な導き手だよ。誰が何と言おうとね」
京極は、冷泉が同年代の中で導き手になったのが遅く、そのことで如月や西園寺と距離をとっていたのに気が付いていた。
京極の目からしても、如月や西園寺はずば抜けており、京極と同じ年になるころには抜かれてしまっているだろうと考えていた。
それでも、冷泉も十分強いと言える。
「京極さんにそう言ってもらえると、うれしいです」
弱弱しく微笑むと、目を閉じる。
そのまま、冷泉は息を引き取った。
雪は降りやみ、空には星が輝いていた。
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