三章 第六話☆

*まだ炎楽視点です




土煙で視界が悪い中、炎楽と朱天はぶつかり合う。


「ハハハハハ、やるな、炎楽。もっと俺を楽しませろ」

「ハァ、ハァ」


炎楽は息を切らしていた。

動きも疲労で鈍くなってきた。


「動きが鈍くなっているぞ」


そう言って、朱天は打撃を飛ばしてくる。


「ハァ、ハァ」


炎楽は何とか斬って受け止めていた。


「舞刀術 陽炎かげろう


炎楽は陽炎のように揺らめきながら朱天の打撃をかいくぐり、朱天の背後へ回った。

首に刃を振るう。


「はあああああああ!!!」


朱天の首に刀が触れそうになったとき、、、


シュッ


炎楽は何かに目を斬られた。

血が落ちる。

すぐに距離をとった。


(今のは、、、尻尾か?目を斬られた)


炎楽の目を斬ったのは、尻尾だった。


「まさか俺が尾を使うことになるとはな」


朱天が笑いながら言う。


「だが、お前はもう見えていないだろ?お前はもう俺には勝てない」

「どうだろうな?」


炎楽は朱天のほうに向かっていく。


確かに、炎楽はうっすらとしか見えなくなっていた。

目が見えていた剣士にとって、突然見えなくなるというのは致命的である。

しかし、炎楽には些細な問題だった。


炎楽は如月と一緒に、目隠しをした状態で打ち合いをしたことがあり、目が見えなくなっても戦えるようになっていた。

炎楽は朱雀に感謝する。


(朱雀と目隠し打ち合いをしておいてよかった。この状況でも戦える)


炎楽は朱天が飛ばしてくる打撃を躱しながら進んでいく。

朱天は、打撃に加えて尻尾でも攻撃してきた。


ガキン!!


(この尻尾、動きが読みにくい。目が見えていないから音や空気の揺らぎで感知するしかないが、不規則に動いている。それに、硬くて斬れない)


「目が見えなくてもなお、そこまで動けるのか。妖術 逆鱗げきりん


朱天は、無数の乱打を放ってくる。


「舞刀術 爆裂」


炎楽も『舞刀術 爆裂』で対抗する。

しかし、完全には受けきれず、掠ったところから血が流れてくる。


さらに厄介なのが、尻尾による斬撃。

朱天は『妖術 逆鱗』とともに攻撃してきたため、炎楽は尻尾による攻撃を回避できなかった。

左腕が斬られてしまった。

刀を地面にさし、何とか身体を支える。


「ハァ、ハァ」

「左腕も失ってしまったな」

「くっ」

「お前はよくやったほうだ。俺に尾まで使わせたんだからな。誇るといい、そして、、、死ね」


朱天が炎楽に拳を振るう。


「うおおおおおお」


声を上げ、回避する。

そして、首に刀を振る。


「まだ動けるのかよ」


朱天は躱して拳を振るう。

刀と拳が何回もぶつかる。


尻尾の攻撃で、炎楽は吹き飛ばされてしまう。


(疲労とケガで動けない。。。それに、意識が、、、)


炎楽は意識を失い、倒れてしまう。


「しぶとかったが、もう終いだ」


朱天は炎楽に拳と尻尾でとどめを刺そうとする。

その時だ。


「舞刀術 鬼事」

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