三章 第五話☆

*引き続き炎楽視点です




刀と拳が何度もぶつかる。

朱天の再生速度はとても早く、斬っても斬ってもきりがない。


(斬っても斬ってもすぐに再生する。体力の面でも、俺が不利だ)


炎楽はいまだに致命傷となる攻撃は直撃していないが、このままではいずれ直撃するのは目に見えていた。

それに、かすり傷は増え始めている。


「舞刀術 鬼火」

「おっと」


軽くかわす朱天。

そのまま後ろ蹴りを放つ。


炎楽もそれを躱す。


「舞刀術 業火」


土煙が上がる。


「な?消えた?」


朱天の姿が消えていた?


(どこに行った?)


「後ろだ」

「くっ」


朱天は蹴りを放ってくる。

炎楽は吹き飛ばされてしまう。


ドドドドドン!!!


さらに朱天は距離を詰め、正拳突きを放つ。


(もうここまで距離を詰めてきたのか。速すぎだろ)


炎楽は体勢を整え回避しようとするが、朱天のほうが速かった。

鳩尾に朱天の手が入りかける。


(直撃はまずい。何とか衝撃を緩和させなければ)


炎楽は地面を蹴って後ろに跳ぶことで衝撃を逃がす。

それでもかなりの威力であり、血を吐いてしまう。


「ガ八ッ、ゴホッ」

「今のは結構きいただろ。ただ、まともには入らなかったか」

「ハァ、ハァ、ハァ」


朱天は打撃を飛ばしてくる。


「くっ」


この打撃も、直接殴られるのよりは威力は落ちているものの、それなりの威力があった。

それを刀で斬ってく。


「いいことを教えてやろう」


朱天が攻撃の手を止めて言った。


「なんだ?」

「お前らが言う紋様持ちは、俺ら二紋様の影響で生まれた」

「なんだと?」


(こいつを倒せば、紋様持ちは生まれなくなるというのか)


「お前を倒せば、紋様持ちは生まれなくなるのか」

「お前に俺は殺せねぇよ。まあ、水珠は死んでしまったが、俺は水珠より強い。誰であろうと俺には勝てねえ」


そう言って、再び打撃を飛ばし始めた。


(このまま離れていては、俺が攻撃できない。ならば、、、俺の間合いに入れる)


「舞刀術 鬼火」

「さっきからそればかりだな。技が尽きたわけではないだろう」


朱天は炎楽の攻撃を躱し、蹴りを放つ。


「舞刀術 業火」


刀を振り下ろし、朱天の足を斬った。

距離をとる朱天。


「やるじゃねぇか。妖術 りゅう息吹いぶき


朱天は、拳から火炎弾を放った。


(今まで飛ばしてきた打撃の中で、一番大きく、速い。鬼火では受け止めきれない)


「舞刀術 爆裂ばくれつ



『舞刀術 爆裂』は、自身の前方を斬りつける技であり、無数の斬撃を放つ。

炎楽の使う舞刀術の中で一番威力の高い技である。



少し押されたが、炎楽は何とか相殺することができた。


(至近距離で放たれていたら、受けきれたかどうか)


「ほう、今のを受けきるか」


朱天は炎楽に接近し、拳を振るった。

炎楽もまた、刀を振るう。


ドーーーーン!!!!


土煙が上がった。

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