三章 第三話
水珠との戦闘から二か月。
如月はまだ包帯は取れていないが、軽く鍛錬をしてもいいという許可が出たため、鍛錬をしていた。
ただ、そこまで激しいものはできないため、如月は不満だったが。
そしてさらに一か月後。
つまり、水珠との戦闘から三か月が過ぎた頃。
炎楽が見舞いに来ていた。
「そろそろ退院してもいいと思うのだが」
「まだ無理だろ。包帯も取れていないし」
「そうは言ってもな」
如月はやることがなくなり、退屈していたのだ。
「もう少し我慢しろ」
「ハァ」
如月はため息をついた。
それから、如月は炎楽から最近の出来事を聞いた。
東雲家に、如月を除く五人の導き手が集められたという。
そこで、二紋様と呼ばれる紋様を二つ持った付喪神がいること、導き手を何人も殺していることなどが報告されたという。
報告されたのは、如月が得た情報だけだったようだ。
(そうか、あれから何も情報は得られていないか)
「炎楽も気をつけろ」
如月が炎楽に言った。
「どうした?急に」
「二紋様は複数いる」
「なに?」
「『あたしたち』と俺が戦ったやつが言っていた」
「それは東雲に言ったのか?」
「今思い出したから、言っていない」
「ハァ、、、なんてことを。
炎楽はため息をついて、炎楽の水玉、焔に声をかけた。
震えて返答する焔。
「すまないな」
「本当にな」
苦笑して返事をする炎楽。
「だが、二紋様は相当強い」
「お前がそう言うか」
「俺が勝てたのはたまたまだ。死んでいたのは俺かもしれなかった」
驚いた顔をする炎楽。
「紋様持ちですらひと月に一度会うか会わないかだから、二紋様なんて、もっと会えないと思うぞ」
「それでもだ。油断するなよ、炎楽。お前に死んでほしくないんだ」
「それはお互い様だろ」
その後、二人は将棋を始めた。
今のところは、如月が炎楽に全勝している。
「今日こそは勝つ」
「返り討ちにしてやる」
そうして、しばらく将棋をしている時だった。
ドーーーーン!!!!!
村の入り口の方から大きな音がした。
「この気配は、、、」
「付喪神だな。まさか昼に来るとはな」
「まあ、そういう付喪神だっている。奴らは神出鬼没だからな」
「では、行ってくる。お前は来るなよ、朱雀」
「分かってる」
如月はうなずいた。
如月は怪我人だ。
本人は大丈夫と言ってもいまだ包帯は取れていない。
そんな状況で炎楽と戦ったところで、足を引っ張ってしまうのはわかっていた。
「なに、心配するな。すぐ終わらせるさ」
そのまま炎楽は飛び出していった。
空には、ギラギラと太陽が照り付けていた。
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