二章 第七話

起き上がった水珠は、怒っていた。


「よくもあたしを蹴ってくれたわね。妖術 波紋刃」


再び波紋刃を放った。

最初に放った時よりも速い斬撃だった。


如月は身をかがめることで回避する。

しかし、水珠が迫ってきていた。


「くっ」


キンキンキン!!!


「妖術 波紋刃」


(三回連続の波紋状の攻撃。受けきれるだろうか)


如月は刀を振り、何とか受けることができた。


「いい加減死になさい!」

「舞刀術 かくれんぼ」


水珠の攻撃を躱す。

そして、首に刀を振るった。


スカッ


読まれていたらしく、空振りしてしまった。


すかさず水珠が扇子を振るってくるが、予想していたため回避できた。

如月と水珠は互角に戦っているが、怪我を負ったままの如月と再生する水珠では水珠の方が優勢だった。

それを如月もわかっているため、どうするかを考えていた。


(どうする。あいつは首を水に変えて致命傷を回避することができる。俺も何度か危ない場面があった。『かくれんぼ』は、このぬかるんでいる地面で何度も使うのは危険だ。。。)


「さらに動きが鈍くなったわね」

「考え事をしていただけだ」

「どんなに考えても無駄よ。あたしは斬れない」


(こいつは一瞬だけしか首を水に変えられない。ということは、、、俺ができるのは、、、)


「舞刀術 隠れ鬼」


如月は、今まで出さなかった技を出した。


舞刀術 隠れ鬼

『舞刀術 鬼事』と『舞刀術 かくれんぼ』が合わさった技であり、相手に見えない速度で動いて斬るのだ。

その速度は、元となっている『舞刀術 鬼事』よりも数段速くなっている。

如月の舞刀術は、技と技を合わせることも可能なのだ。


「どうせ背後にいるんでしょ」


水珠は後ろを振り向くが、そこに如月はいなかった。

あたりを見渡すが、如月の姿は見えない。


「どこに行ったの?」


水珠は完全に如月を見失った。

首を斬る最大の瞬間が生まれたのだ。

如月は刀を振るう。


(こいつに気づかれていない。これは斬れる)


首に刀が入る感触があった。



しかし、すり抜けてしまった。


(こいつ、、、首に刀が当たったと分かった瞬間に水に変えたのか)


「今のは本当に危なかったわ」

「ハァ、ハァ、ハァ」


如月は息を切らしていた。


「今の技は、あなたに相当負担がかかるのね」


水珠が言ったように、『舞刀術 隠れ鬼』は如月の舞刀術の中でも相当負担のかかる技であり、何回も連続して出せない。

怪我を負っている今の状態では、出せてもあと一回というところだった。


(今ので斬れなかったか。だが、どうすればあいつの首を斬れるか分かった気がする)

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