二章 第四話
水珠が扇子を振るい、水の斬撃を放ってくる。
一週間前に攻撃してきたのは、水珠で間違いないようだった。
如月は水の斬撃を回避するが、水の斬撃は追尾してくる。
(やはり、斬撃を操れるのか)
バシャッ
如月は水の斬撃を弾き飛ばす。
水珠が接近してきており、扇子を振るった。
「くっ、最初の斬撃は目くらましか」
キンキン!
(速い。それにこの扇子、刃物のように鋭く、斬れない)
「あなた、やるわね。今ので殺すつもりだったのだけれど」
「それは残念だったな」
「ええ。でも焦ることはないわ。私はあなたを確実に殺せるわ」
そう言うと、水珠は水の斬撃をさらに放つ。
「ちっ、舞刀術 鬼事」
如月は水の斬撃の間を縫うように動き、水珠に接近する。
首に刀が迫る。
しかし、、、
ドン!!!
「随分と速い動きね。でも、それじゃあ私の首を斬ることはできないわ」
水珠は全方位に無数の水の斬撃を放ったのだ。
如月は至近距離で食らってしまったため、すべてをさばくことはできなかった。
血がポタポタと滴り落ちる。
水珠が放った斬撃は、桜の木だけでなく近くの家屋をも吹き飛ばした。
「きゃあああああああ」
怪我を負った人もいて、悲鳴が上がる。
桜華の街は大混乱となった。
(まずい。民間人に被害が出てしまっている)
「ぎゃあぎゃあとうるさいわね」
水珠はなおも民間人を攻撃しようと、水の斬撃を放つ。
バシャバシャッ
如月は『舞刀術 鬼事』で動きながら斬撃すべてを弾き飛ばす。
「お前の相手は俺だ」
「ふっ、やってくれるわね」
キンキンキン!
扇子と刀がぶつかり合う。
如月は、民間人に攻撃させないように上手く立ち回っていた。
しばらく斬撃の応酬を繰り返していると、周囲から人間の気配がなくなっていた。
どうやら、伝手の人が先導して避難させたらしい。
(さすが伝手だな。これで、付喪神との戦いに集中できる)
如月は刀を持つ手に力を入れなおした。
「あなたは今まで殺してきた導き手たちよりも強いわね」
「導き手たち、、」
「ええ、そうよ。あたしは何人も導き手を殺してきた」
(何人も?今まで導き手を殺してきたのは、こいつの仕業ということか?)
「人間じゃあ、どうあがいてもあたしたち二紋様には勝てない。導き手だろうが、二紋様が負けることはないわ。あなたもさっさと死になさい!」
さらに水の斬撃を放ってくる。
(導き手を殺してきたのは二紋様ということか。だとしたら、なおさら負けるわけにはいかない)
「いや、勝つさ」
そう言って、如月は水珠の方へ駆け出した。
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