一章 第八話
「模倣じゃないって、、、言ってるでしょ!」
万華は突然怒り出し、鎌を振り回した。
如月には、それが幼い子供のように見えた。
「私を認めない人間なんて、いなくなればいい。妖術
次の瞬間、キン!
如月はとっさに防いだ。
万華の持っていた鎌が消え、代わりに爪が伸びている。
「なっ」
如月が見たのは、、、
「もう一人の俺?」
そう、もう一人の如月だった。
しかし、万華と同じ位置に同じ形の紋様があった。
「ふふふっ。驚いた?私の『月鏡万華』は、この空間に入ったものを複製できるの。あなたは、自分自身との戦いに勝てるかしら」
「俺には紋様はないんだが、、、」
複製された如月が刀を振るう。
「くっ」
「どんな剣士でも、自分を相手に戦わせれば、互角なのよ。それが例え導き手でもね」
キンキンキン!
如月は、複製された如月に傷を与えるが、それも再生されてしまう。
さらには万華が爪や蹴りによって攻撃してくる。
二対一という、不利な状況。
しかし、如月が考えていたのは別のことだった。
(もう一人の俺に傷を返す能力がなくてよかった。強さで言えば、偽物の俺のほうが、あの付喪神よりも上か、、、)
その時、偽の如月が動いた。
「舞刀術 百人一首」
「今のは、、、舞刀術。まぁ、複製と言っていたからな。使えて当然か」
如月は、二人の攻撃を受け流しながら考える。
(まずは偽物の俺から片づける)
如月は、攻撃をさらに速くした。
偽の如月も対応する。
この二人の戦いは、誰も寄せ付けなかった。
鏡の柱などは所々にひびが入っている。
万華も何とか加勢しようとする。しかし、、、
「邪魔だ」
如月が後ろ蹴りを放ち、万華を遠くまで跳ばした。
さらに、如月は偽のほうにも斬撃を放つが、それは偽の如月に防がれてしまった。
キンキン!
如月は、鏡の柱などを使って、不規則に動いて偽の如月を攻撃していった。
パリン!
砕け散った鏡の破片が如月の顔を傷つける。
それでも如月は攻撃の手を緩めず、刀を振るった。
次第に押されていく偽の如月。
如月は気づいていないが、偽の如月は
万華が知っているのは、如月と辻切との戦闘だけであり、それ故に、偽の如月は『舞刀術 百人一首』しか使えない。
「「舞刀術 百人一首」」
二人同時に同じ技を放った。
ガキン!
刀同士がぶつかり合う。
しかし、如月のほうが力が強く、偽の如月を刀ごと斬った。
光の粒となって消えていく偽の如月。
如月はハァ、ハァと息を切らす。
手には自分自身を斬った感触が残っていた。
(自分自身を斬るというのは、気持ちのいいものではないな)
如月は、息を整えて万華を蹴り飛ばした方へ向かい出した。
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