第26話

「そういう展開早くない。

 まだ帰ってきて一月しか経ってないのにさあ。

 弟の訃報(ふほう)を聞いて立ち上がったって言えば聞こえはいいけど。

 異世界からの連絡手段ってどうやってるわけ。

 豊臣秀吉も驚きの戦法だよ。」


「キサマが何を言っているのかは知らんが、我はもとより弟もこの世界の生粋の生物だぞ。」


生粋のこの世界の生物って火星人かなにかですかい。

彼女の肌の色合いは一見純粋な黒に見えるが、身体強化を使ってみると人間と同じ肌色も有していた。


元々の肌の色は白人系の肌の色と観た。

身体強化を使って魔力のフィルターを使っているから本来の姿、眼鏡を使わない姿が見えた。

欲見れば容姿も良い。


「生粋の地球産の生物って認識であってる?」


「少し違うとだけ言っておこう。

 それと、彼ら異世界人も細胞のルーツは一緒だ。」


「それで、異世界人と子どもが成せるわけだ。

 でも進化の系譜から別れたのか?」


「それは良いだろう。

 それよりもキサマ今何をしている?」


「何って、尋問だよ。」


脳に直接聞く。

心を読むのとは違う。

ルルさんの心を読む術はあくまでも表層を掴み取っているのに過ぎない。


これは、相手の人生そのものを乗っ取る術である。


身体強化、この秘術を完璧なものにすることはついぞ叶わなかった。

経験が圧倒的に足りない、未熟な文化部の身体では持て余す。

それを解消するために得た術。

経験したことが無いのならしている生物から奪えばいい。


「痛い!

 なにを……」


口から泡を吹こうとも続ける。

彼女が忘れていた記憶すらも引っ張りだすように。

莫大な人生を1分に凝縮し、思い出す走馬灯。


死の淵で行われるはずの現象を起こしている以上、脳への負担は計り知れない。


また、魔法生物の中には脳を持たない生物も多く、DNAから直接細胞情報に刻まれた情報を取得していた。

DNAに記憶は無いと言われているが抗体などの病原菌に対する対処情報が刻まれる以上は、他の記憶する機能は備わっていると理論づけ、行った魔術。


「大体わかった。」


この世界の生物であることは理解した。

ベースは人間であってる。

子どもは成せる。

単一での生殖も可能。

この種族は現状6人、彼女の弟が死んだことに対しては特に何も思っていないらしい。


ただのやんちゃ小僧が管理者の対処を見誤っただけとのこと。


自分はこのあたりで活動している陰陽師に用があってきただけ。

冥界からの住民を説得も兼ねた人物だったらしい。

思いっきり見方だったわ。


「結構強引ね。

 まあこれで潔白は証明できたかしら。」

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