第5話

一先ず、学校から帰るとたくあんご飯をこれでもかと頬張る。

学校に行くまでの間、山間部での生活で文明的な生活は一切していなかったし、異世界では発酵パンは貴族のみの贅沢となっていた。

そして精密検査のため入院していた病院食は味が薄かった。


だってさ、味噌汁が白味噌なんだよ。

こちとら八丁味噌で育ってんだよ。

味噌が甘いし、薄いし好みじゃない。


たくあんも塩抜き一切しない田舎使用。

これぞ塩分ですよ。


「あんた、普通の生活に戻ってから食べたいものがそれって貧乏性ね。」


「んだよいいじゃねえか。」


「普通は寿司とかステーキとか、後はまだラーメンならわかるのよ。

 高校生なら脂っこいモノの方がねえ。

 今のアンタの体格ならそっちの方が似合ってるわよ。」


「山の中だと生肉しか食べられなかったし、野菜とかの方が食べたいの!」


「山で野宿なんて経験ないけど、山菜とかわからなかったの?」


「下手に食べて毒があるか分からなかったから、とりあえずウサギとか取るのが手っ取り早かった。

 サバイバル本にも、知識がないなら哺乳類を食べておけば日本では間違いないって言ってた。」


どんなサバイバル本よ。

と我が母上殿は嘆くが、毒の類だと無効化できないモノもあった異世界では他の生物が食べている生肉を食べるのが一番安全な生存方法。

異世界のサバイバル本でのことなので、嘘は言っていない。

本のタイトルは「バカでもわかるサバイバル術~大魔境新人冒険者編~」

それと一般人は絶対にまねをしないでね。


「後、これが一月分の課題か。」


出席日数は特例としてOK。

休日は後一回きりになり、それ以上した場合は冬休み春休みを返上して勉強できるようになった。

しかし、一月分の授業はなかったことにはできない。


このランドセルに収まりきるのかと疑うほどの量の課題。

先生たちも嬉々として作っていたのか、マニアックな問題つぎ込みますね。

んだよ、危険物乙種の条項とか化学の先生要らない問題入れてるとか。


ま、身体強化魔法を使えば一時間で終わるんだけどね。

何を隠そうこの魔法は物体にもお仕留めることのできる能力。


(身体強化魔法を使った状態でペンを走らせれば良くて何も書けない。

 最悪の場合発火する。

 理由は紙の摩擦に対して鉛筆の削れ落ちた粉が紙に着く前に吹き飛ばされ摩擦だけが残るため。

 破ける可能性の方が高いがそれは中間です。)


学生の本分たる勉強に打ち込み現代日本に帰ってきた実感に浸りながらも平穏を楽しんだ。

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