第4話

「_それでは故郷に戻しますがよろしいですね_」


「あいよ。」


⁂⁂⁂⁂⁂⁂


「やっとこさ戻ってきた。」


ここは山の中。

高校の林間合宿の最中だった。

つまりは遭難扱いにもできる。

俺は無実だ。

それを証明するために今から遭難する。


実際帰り方わからないから遭難してるのは事実なんだけど。


これで事故で死んだ扱い。

尚且つ俺も行方不明でどちらかわからなかった件説で一月もすればマッスル化は証明できますね。


俺は元々やせ型だったから動物性タンパク質も取らないといけないな。


「おーい、雄馬はどこだ?」


「それと勇君も居ないよ。」


「ああ坂本勇か、そんな奴もいたな。

 でも雄馬の方が大事じゃないか?」


さらっと酷いこと言われてるね。

俺ってばそんなに人望なかったんだね。

言ってて悲しくなるが、今はクラスメイト達から離れるのが先決。


林間合宿先は東北の蔵王付近、一度迷えばほぼ解らなくなる。

山脈の連なる部分で捜索隊は派遣されるとは思うが、俺は逃げ切って見せる。


そうだラ〇ボーに成れ(ネタが古すぎて20代以下に伝わるか不明)。


⁂⁂⁂⁂⁂⁂


回想に回想を繋ぐ愚行はっきり言って必要なし、読者が飽きるのみ。

俺は一月後無事救助された。


そしてさらに精密検査などをして1週間、生肉を食べたことから脳の病気と狂犬病検査など行い問題ないと判断されて初めてクラスに足を踏み入れた。


「なんで雄馬は帰ってこなかったんだよ!」


開口一番、人生を否定する最低の一言を言いやがりましたよ。

クラスに入ればそうなるよね。

ある意味地雷転移であることは明白。

それに雄馬はクラスの星、中心的存在だったし、俺みたいなモブオブモブみたいな人にはただのゴミクズだよね。

リアルハーレムの主人公は何故こうも陽キャなのか疑問に思う。


「お兄ちゃんなんか帰ってこなくていいよ。

 あんなクズいなくなってせいせいした。」


「私も。」


「雄馬のお世話しなくて済むのは助かるわ。

 …これで任務からおさらばね。」


雄馬ハーレムの女性たちは否定的な意見を話す。

姉は小さな声で任務からおさらばと言っていた。

っていうか…この感覚は異世界で嫌というほど感じてたやつですね。

はい、魔力です。

何かしらの魔力を持って雄馬を監視していたのかね。

アレは、莫大な魔力を持っていたし質もおかしかった。


ま、知らねえけど。

俺の今はただの一般人。


魔力もうまく隠しているから早々にバレはしない。


「でも、不思議よね。

 アレだけ筋肉ムキムキになるなんて不思議にもほどがあるわよ。」


「ひと月でムキムキになる人はなりますが、野生の中でとはすごいですね。」


「山の神にでも魅入られたのかしら。」


聞きたくない聞きたくない。

現代日本がファンタジーみたいなこと知りたくない。


「お前ら、勇が帰ってきたって言うのにそれはあんまりだぞ。

 あと、雄馬の手掛かりが見つかったから警察に聞いてみると良い。」


女神が何かしたのか。

それともあの三人が隠蔽したのか。


非日常から離れたのに日常の近くに非日常はあったようだ。

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