第2話
「え?雄馬は帰りたくない?」
「ああ、だからお前だけ帰ってくんね。
理由はテキトーで大丈夫だからさ。」
花の勇者は見事に童貞捨てて、王女様の傀儡にサレテラー。
この勇者様はさ、隣に学校一の美少女の幼馴染に、大学のミスコン受賞の姉、ブラコンの妹というラブコメ主人公みたいな環境で育っているんですよ。
俺?
暇つぶしに難しい本読みながら、妄想するの好きな文芸部です。
勇者の気持ちもわからないでもない。
実態はパシリも多いし、幼馴染や兄弟姉妹が居るってだけで紹介してくれって血走った男子も多く居たしね。
独占欲はあったけど、恋心じゃない。
国も手玉に取りやすいでしょうなこの若造は。
国王様をちらりと見ると警告として睨みつけられましたね。
「ふう、雄馬。
俺は日本国民としてお前を力づくでも連れて行かないといけない。」
「なんだと、モブの癖に俺の幸せを奪うのか!」
「貴殿は勇者殿と同郷であるのなら勇者殿の幸せを祈るモノでは無いのかね。」
「ん、帰る気が無いのはわかったでは、サインを求めたいのだが良いだろうか。」
「サイン?」
やれやれ、これだから馬鹿は困る。
いや、遊び心のある趣味を持ってるやつかな。
普通に考えて俺がそのまま帰還して、雄馬だけが帰ってこなかったときの話だ。
もし時間が進んでいなかったのならそれはそれで良し。
疑われる可能性があるが俺には完璧なアリバイがある。
問題は時間が進んでいる場合だ。
確実に俺が疑われる。
最悪少年院行きになる。
良くて高校定額か長い事情聴取が必要になる。
もしくはいじめも起きるだろう。
元々雄馬はサッカー部でエースでモテた女子からは相当陰湿ないじめをうけるだろう。
日本人は元来ネガティブなことを考えるのに右に出る民族は居ないと言っていいほど、物事の失敗を考えることがしやすい人物だ。
俗に言う保守的な人種で、挑戦をすることは中々無い。
既に確立された技術を調整することに富む。
それを最大限生かした答えは本人からの正式な署名をすること。
「これにサインができるなら俺だけで帰る。」
「わかったよサインすればいいんだろ。」
碌に読みもせずにサインしたが、これで契約は成された。
「で、どうやって返してくれるんだ。」
「それはだな。貴様をここで殺すこ……。」
ありきたりな展開かと思えば視界が暗転した。
正確には知覚しづらい空間に転移させられた。
「勇者に巻き込まれし者よ。
あなたには悪いことをした。」
__私は俗に言う女神というものです__
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます