第2話パピコ

太一は仕事で研修に行った。

「はじめまして、席となりいいですか?」

隣に佐藤という同期が座ってきた。

「初めまして、どうぞどうぞ」

同期とは言え、会ったことがないので初対面だ。

「お仕事どうですか?」

そんな形で、自然に会話をしていた。

ただ、何だかこの佐藤との性格が異様に合わないように感じられてきた。別に嫌な奴ってわけではないのだけれど、なーんか、今までに自分と仲良くなったタイプではなく、あんまり仲良くならない人なんだろうなと直感的にわかった。

みなさんもそういう人いますよね。

まあ、深く関わるわけではないので、この日は1日仲良く過ごした。

そして、帰り、聞くところによると途中まで電車が同じらしく、一緒に帰ろうと言われた。

しかし、あんまり乗り気にならなかったので、

「ちょっとコンビニに用事があるから、ここでお疲れ様。」

と、もう、別れましょう感を存分に出した。

そうしたら、

「あ、じゃあ俺もついていくよ。」

ついてきやがった。

別に俺は、コンビニでやることがなかったので、いらない100円のお茶を買ってコンビニを出た。

すると、

「ほらよ。」

とパピコの片割れを渡してきた。

なんかすこぶるムカついた。何でかはよくわからないが。

進研ゼミの漫画かよ。

なんか、佐藤と性格が合わない理由が具現化された気がする。

その時から、一回も会っていないが、そいつの名前は俺の中でパピコになった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

太一日記 @かあ @kaa999

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ