恋敵(仮)

 今、目の前にこうちゃんがいて、

「あんずさんの恋人がみたいんですっ」

 と、キラキラしながら我が家にいるのは、何故?

 あぁ…、あの二人か。

 相変わらず、お隣さんには筒抜けにしちゃうのね…。

「見たことあるヒトだよ…」

「知ってます」

 でしょうね。

 洸ちゃんのおかげで、こんな田舎まで来てくれるのだから…。

後東ごとうさん、だったっけ…?」

「そうだよ」

「全然、好きじゃないくせに…」

「そんなことないよ…」

 そんな会話をしつつ、じりじりと接近する洸ちゃんに。

「後東さん来たら連絡するから…」

 目も合わせずに、立ち上がって携帯端末を持つ。

「はい…」

あんちゃん、もうすぐ着くんだけど…』

 じゃあ、そろそろ出ますか…。

 ドンッ

 と、近くで物音がした…。意外と近くて驚いて上を向くと。

「あんずさん…」

「はい…?」

 いつの間にか扉の前に洸ちゃんがいた…。怒ってる…のかな…。うん。これは怒ってるわ…。

「本当に、いいんですか…?」

「な、何が…?」

 とりあえず、玄関に向かいたいのでそこを退いてください…。

「結婚しちゃうかも知れなくなるんですよ…?」

「うん…」

 実家に来た時点で、もう覚悟は決めている。

 あ、最初は誤解を解くための心意気しか持って来なかったけど…。

 今では、結婚という二文字の覚悟は出来ている…。

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