彼氏(仮)

 とりあえず、後東ごとうさんが結婚前提でお付き合いしている彼氏。そういう設定で。と連絡を入れた。

 詳しく説明する気も失せた…。久々に帰って来た実家に、こうちゃんの誤解も解けた安堵感が…。

 後は、何とでもなれ…。

『了解。あと1時間くらいで着くよ』

 後東さんからの返事は、やけにさっぱりしていた…。

 車で、来るのかな…。

 安全運転で…。と入力している間に、後東さんから着信が…。

「はい…」

河崎かわさき、名前で呼んでもいいか…?』

「そうですねぇ…」

あんちゃん…』

「違和感ないですねぇ…」

『ずっと、そう呼びたかったから…』

「呼べばいいじゃないですか…」

『嫌なんでしょ…?』

「嫌というか、恥ずかしいんですよ…」

『河崎、今日は可愛いこと言うじゃないか…』

「一応、打ち合わせがてらにこういう会話もしておかないと…」

『流石だな…』

「本当は嫌ですけどね。名前で呼ばれるの」

『だろうね。でも今日は思いっきり呼ばせてもらうよ。杏ちゃん…』

「はいはい…」

 そして、少し恋人気分を味わいながら後東さんと打ち合わせをした…。

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