突然の告白

「いや、俺にまかせて」

「でも…」

 通話中になってしまった携帯端末をそのままにしてしまっているのは、ジュンさんに腕を掴まれているから。

「好きだよ…」

「はい?」

「あんずちゃんのこと、好きだよ…」

「………ぇ?」

 思わず、周りをキョロキョロ見渡す。

「本当に、好きだから…」

『待てぇーっ。待て待て待て待てぇーっ!!』

 後東ごとうさんが叫んでいる…。それで、我に返った。

「あんずちゃんは、俺のこと好き…?」

「好きです」

 でも、と言って、私の腕を掴んでいるジュンさんの手を離そうとその腕を掴んだ。

「男女の関係になりたいワケじゃないです…」

「そう…」

 ジュンさんはニコッと笑って、私の携帯端末に顔を近付けて、

「フラれちゃった…」

河崎かわさき、今ドコにいるんだ?!』

 音漏れが激しい…。後東さん、相当大声で喋ってる…。

「今は保志野ほしのの家だよ。助けてあげてね。河崎の上司さん」

 はい。と抱擁から解放された私は携帯端末に耳を傾ける。

「後東さん…?」

『河崎、今からそちらに向かう』

「来ないでく…」

 ださい。と言い切る前に、終話になった…。

「ジュンさん…。からかうのやめてくださいよ…」

 ジュンさんに向かって、もっと文句言おうとしたかったのに…。

 そんな切ない顔をしていたら、何も言えなくなるよ…。

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