凱旋

 今、実家に戻る電車の中で脳がフル回転でどう説明しようかと考えている。

 ジュンさんには、真っ先に話さなきゃいけない…。

 それから、私の両親にも実は違うということも伝えなくてはいけない…。

 電話では母に事実無根だと言っても、応援しているからとこちらの話に聞く耳を持たず…。

 実の娘が違うんだと言ってるのが聞こえないほど、そういったたぐいの話がなかった自分を恨むしかないのか…。

 いや、むしろ良縁なかったから疑って欲しかったんだけど、な…。

「ただいま…」

 呼び出し音を鳴らして、誰も出て来る気配がない実家に、合鍵で入ろうとした時に。

「おかえり」

「た、ただいま…」

 いきなり声をかけられたので、驚いたのだが…。

「あんずちゃん、お話があるんだけど…」

「こちらもお話があるので、荷物だけ置きに行っていいですか…?」

「了解」

 じゃあ、待ってるよ。と言って、隣の「保志野ほしの」さんの家に入って行った。

 その後ろ姿を見ながら、こうちゃんを思い出した。

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