鈍いカラダ

「あぁ…」

 何回か計ってるけど、変わらない…。体温計は38度だと告げている…。

「チッ…」

 ベッドから体を起こすだけでも、気怠い…。

「はぁ…」

 携帯端末を手に取り、事務所に誰もいない時間かな…。事務所への発信を取りやめて、後東ごとうさんに連絡を入れた…。

『はい…?』

 低い声で、今、起きたような声だった…。ごめんなさい…。後東さん…。

河崎かわさきです…」

 何か涙が出て来た…。熱のせいかな…。

『どうしたの…?』

 近くに置いてあるボックスティッシュに手を伸ばして、ティッシュを取り、目に当てる…。

「高熱が出ました。今日はお休みで…」

『勿論、休んで…。病院に行けそうか…?』

 後東さん、上司として最高なのに…。何か笑えて来た…。

『河崎…?』

「はい…。ちゃんと一人で行けます…」

 行けなくても、後東さんには頼らない…。意地ではなく、仕事のフォローをしてくれるから、これ以上迷惑かけれない…。

『行けそうにないんじゃない…?』

 何で、そういう気配りは出来るんだろう…。これだけだと惚れてしまうよな…。きっと現在だけの後東さんを知っているならば…。

「行けなかったら、電話します…」

 では、おやすみなさい。と言って、電話を切った…。

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