重い。想い。
「おはようございます…」
泣いてしまえば、翌日、ヒドい顔になるのは当然のことで…。
「
「おはよう…?」
後東さん、邪魔…。目で訴えているが、退いてもらえそうにないので、諦めた…。さて、自販機に向かおうか…。
「河崎、待って…」
事務所から出ようとしたら、
「その顔、どうした…?」
後東さんに指摘されてしまった…。そして、手を掴まれていて離してくれない…。
「感動的なドラマを見て、泣きました」
我ながら、何てヒドイ棒読みなんだろう…。
「そうか…」
そう言って、立ち上がり、
「河崎、そろそろデートしない…?」
「しません」
後東さんが私の顔を触ろうとした時に、
「後東、パワハラだよ…」
今は、後東さんと私、そして、白坂さんしか事務所にいないので、同期だけだと白坂さんは後東さんのことを呼び捨てにする…。
「俺は、ただ…河崎が、…」
声を詰まらせたかと思えば、嗚咽するくらい泣き出した…。
「河崎ちゃんを想う気持ちが重いわね…」
よしよし。と、白坂さんは後東さんをなだめる。
「本当、重いです…」
見た目は細身だけど…。
「重く、ないっ…」
泣きながら言う後東さんに、
「後東は、どうしたいの…?」
白坂さんは、私の前に後東さんを向けた。
「河崎ちゃんも、本当に嫌なら嫌だって言わなきゃ後東はずっとこのままあんたを追い続けるわよ」
号泣に近い後東さんの顔に、私は近くに置いてあるボックスティッシュを差し出した。
「嫌いじゃないです…」
私は、後東さんのことが嫌いではない…。
「でも、好きにはなれません…」
ごめんなさい。と一礼して、
「俺は、河崎が好き…」
ごめんなさい。と一礼して、後東さんは鼻を激しくかんで、
「大好きだよ…」
嫌いと言われると好きと言うのかな…。では、ここで好きだと言えば嫌いに…。いや、後東さんはストレートに俺のことが好きだと勘違いするだろう…。
「はぁ…」
もう仕事しよう…。泣き止みつつある後東さんから離れて、自分の席に座った。
「平行線だわねぇ…」
そう言った白坂さんが少し笑って、
「イチャついてるようにしか見えないわ…」
後東さんの肩を叩いて、
「はいっ」
行くわよ。と、白坂さんは嫌がる後東さんを席まで誘導した。
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