用件

 会議室から出ると、後東さんが近付いて来たので、反射的に離れた…。

河崎かわさき、何もされてない…?」

 でも、距離感を詰めて来るので後東ごとうさんの両肩を全力で押して、

「何もされてませんって…」

 そんなやりとりを同僚にガッツリ見られているのだが。

「相変わらず、後東所長の河崎さんへの愛情は深いですねぇ…」

 薄茶色の髪で目が深い青色の黒崎くろさきくんがウットリ見物している…。何か違う想像を超えたものを見てないか…?

「黒崎の想像力も相変わらずだね…」

 長髪の黒髪で、しぐさ、言葉遣いに特徴がある白坂しらさかさんは私に向かって、

「河崎ちゃん、お土産買って来たわよっ」

 うーん…。やっぱり、上司が上司なら部下も部下なのか…。

「ありがとう…」

 一応、受け取るよ。

「俺も、河崎さんにお土産買って来ましたっ」

 黒崎くん、お手本にするヒトを間違ってるから…。

「ありがとう…」

 一応、受け取るよ…。

「中身、見ないの…?」

 後東さんは言ってる傍から紙袋を開ける。

「うわっ…」

 出張のお土産を個人的に貰い始めたのは、今、そのお土産の品を凝視している後東さんが始まりで、

「凄いでしょ…?」

「おぉ。これは…これは…」

 同僚からも貰うようになり、今や着けない下着が増えて仕方ない…。

「俺は、普段使い出来るモノを買って来ましたっ」

 黒崎くんの選んだものは、確かに普段使いできるのでいつも使わせていただいてます…。

「黒崎くん、ありがとう…」

「いつでも、抱かせてくださいねっ」

 黒崎くんの顔を見ながら、改めて思うのはこの事務所って顔が整ったヒトが多いよな…。私はさておき…。

「今日、黒崎くんから貰った下着だよっ」

「そうでしたかっ」

 ハグして、

「そういう抱かせてじゃないんだけど…」

 黒崎くんが耳元で囁いて、もっと力を込めてギュッと抱きしめられる…。それは一瞬の出来事で、

「黒崎のは、着けるんだ…」

 地味に落ち込んでいる後東さんに、

「だって、河崎さんが着けそうなものを買いますからっ」

 黒崎くんは自身が買って来たブツを見せつけた。

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