謝る(2)

「香水のキツい匂いが苦手で、それでいつもよりペース早く飲んでたみたいで…」

 館花たちばなさんの標準で薄れていたのですっかり忘れてたけど、彼女の香りは結構キツい…。

「ごめんなさい…」

 全てにおいてイタイ彼女だったことを再認識する…。

「何で、あんずさんが謝るんですか…?」

 ミネラルウォーターを飲み干して、顔色が良くなった保志野ほしのくんは、

「同じ会社のヒトであっても、謝る必要ないと思いますよ…」

 そう言って、私が持っていたミネラルウォーターを自然に奪った…。

こうちゃん、もっと飲みたかったら買って来るよ…?」

 首を横に振り、一口飲んで、

「あんずさん、ありがとう…」

 そして、現金を紙切れで渡された…。

「多いよ…」

 ミネラルウォーターがあと数本買える料金をいただいたので、

「いいのに…」

 おつりを手渡したら、

「そんな優しいあんずさんに俺からの抱擁をプレゼントしますっ」

 勢いよく向かって来たので、

「ダメッ」

 大声とともに、ベンチから立ち上がり財布をカバンへ入れる。

「さぁ、来いっ」

 今だったら、いつでも受けて立つ。

「とぉっ」

 笑いながら抱きつく保志野くんに、

「今日はまっすぐ帰ろうか…」

 ちょっと館花さんの姿が思い浮かんだ…。何で…?匂いかな…。

「はい…」

 そして、少し離れて私の顔を見つめて、

「また今度」

 そんな可愛い笑顔で言われたら、

「はい…」

 って、答えちゃったじゃないか。

 赤ん坊の頃から知っている洸ちゃんは無条件で可愛い…。こういうのって母性っていうのかな…。

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