お誘い

 会議室から出て来た二人は、腕を組んで仁王立ちしている私に驚く。

河崎かわさきさんっ」

 相変わらず、彼女は無駄にキラキラと女子力高めオーラ出てますよねぇ…。苦手だわぁ…。

「河崎、決して館花たちばなちゃんとはそういう仲ではないから…」

「そうですか…」

 怯える後東ごとうさんが新鮮で、俯いてほくそ笑んだ…。

「ポスターをどこに貼ろうかと考えておりまして…」

 思い悩んでいたところに二人が戻って来たので、さぞかし私の険しい顔が際立ったのだろう…。

「私、しますのでっ」

 そう言うと、館花さんは私が手に持っていたポスターを奪い、

「これくらい出来ますよっ」

 鼻歌を歌いながら、脚立に乗り楽しげに貼っているので、いつも通りか…。と思っていたのだが。

「河崎、今日付けで館花ちゃん、本社に戻ることになったよ…」

 耳打ちされた言葉に、

「えぇっ」

 大声が出てしまったので、脚立がガシャンと音を立てた…。

「河崎さん、ビックリするじゃないですかっ」

 もう降りていたので、大惨事に至らず…。

「ごめんなさい…」

 館花さんを見ると、にんまり笑って、

「じゃあ、今日の集まりに参加していただけますかぁ?」

 集まりって…。

「欠員が出ましたので…」

 数合わせ、か…。

「すぐ帰っていいなら、いいよ?」

 今日で会わなくなると思うと、参加しても悪くないかと思わなくもない…。

「では、また後でっ」

 万遍の笑みで彼女は脚立を担ぎ、事務所を出て行った…。

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