緊急ミーティング

「おはようございます」

 事務所の奥にある会議室の前で、凸凹な二人が聞き耳を立てていた…。

「お、おはようございますっ」

 驚いたのが、私と身長変わらないくらいの志波しばくん。

「おはようございます」

 普通に挨拶をしたのが、見上げるくらいの長身の波須はすくん。

「どうしたの…?」

 一番近かったのが志波くんなので、そろりと近付いた。

「今、後東ごとう所長と館花たちばなさんがお話しておりまして…」

 志波くんは声を潜めて、話を続ける。

「館花さんの一日の業務を後東所長に聞かれて、備品管理や簡単な入力作業って答えたらこのようなことに…」

 そう言えば、志波くんが教育係だったよね…。書面上は、だけど…。

「何かボク、やらかしましたかね?」

 怯える志波くんに、

「教育係のお前が全然教育してない。河崎かわさきさんが代わりに教えるって…、やらかしてないと思う方がヤバいわ…」

 波須くんは冷静に事実を述べて、私に一礼して、

「すみませんでした…」

 お前もだよ。と、志波くんの頭を押さえつけてお辞儀をさせた。

「す、すみませんでした…」

 志波くんと波須くんはまだ若いから、失敗していいんだよ…。

「次から、気を付けてね…」

 言いたいことは昨日、思う存分後東さんに言ったからね…。

「それより、急ぎの仕事あるんじゃないの…?」

 二人して、

「あっ」

「あ…」

 小走りに自分の席に戻り、書類をカバンに詰め込んで、身なりを整えて…。

「いってきますっ」

 志波くんは相変わらず、最終確認しないよなぁ…。封書が1通残ってる…。

「志波、待て…」

 そんな志波くんをさりげなくフォローするのが、波須くん。

「波須さん、何ですか…?」

 志波くんが振り返ると、目の前に封書が付き出されていたので、顔面で受け止めていた…。

 なかなかいいコンビだな…。

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