第13話 非番
朝、起きる。今日は非番の日だ。予定は何もない。いつものことだ。
寝ぼけた頭に、ぼんやりと秋坂のことが引っかかっていて、もどかしい。あれはもう終わった事案だ。そう考えようとするたび、目の裏に焼きついた秋坂の様子が浮かんでは消えていく。
佐藤は自然と翔太が轢かれた横断歩道に向かっていた。現場に到着。原付を歩道の脇に停める。当時のことを思い出す。
指令より連絡を受け、臨場したとき、その横断歩道には、血が水溜まりのように広がっていた。そして、血だまりから血痕が、点々と近くの美容室まで続いていた。秋坂は、翔太を轢いた後、すぐに近くの美容室に助けを求めに行ったようだ。
佐藤がその血痕を追い、美容室を訪れたときは、まだ掃除して間もない様子であり、入口に拭き残された血がバーコード状に残っていた。
証票を掲げる。通報を受けた警察です、子供を轢いた運転手はどこですか?と店主に尋ねると、先ほどここを出ていきました、と返ってきた。
まずい、逃走だ。
どこに向かいましたか?と尋ねると、さぁ、何故だかそこの坂を登った先にある神社の方向へ向かったような気がしますと店主は言い、裏山へ続く坂道を指した。
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