第15話 ヤバイ訪問者〜転校先は不良(ヤンキー)校!?

次の日。


私は昨日の事もあってか、会いたくないのもあり、今日、送迎するはずだった優人君に嘘をついた。


『用事がある為、親に送ってもらうから大丈夫だよ』



そんな嘘のメールを送った。


早目に家を出て、ファーストフード店に足を運ぶ。



初めて学校をサボった。


授業を受ける気などならない。


学校も始まる時間となり、相変わらずファーストフード店にいる。



「おいっ!君っ!」



ビクッ



《ヤバ…補導される!》




確認する事なく先走る中、顔を上げる。



「す、すみませんっ!……!!!…えっ…!?…なっ!わわ……なんば……っ!」



口を手で塞がれた。



「…場所、考えろよ…!」



小声で言うと私の前に腰をおろした。



「何してるんですか?」



私も小声になる。




「お前こそ何してんだよ?女にしちゃ珍しくねーか?今、学校の時間だろ?」


「…ちょっと…」


「アイツらは知ってんのかよ?」


「知らないかな〜。後で行くっては伝えてないし、まあ、何とかなるんじゃない?つーか、あんたこそヤバイんじゃないの?」


「……だろうな?」



微かに微笑む。



「つーか、早く帰った方が身の為だぞ?棚峅 希美さん」




そう言うと帰っていく。


私は彼を見つめるものの後を追った。




「待って!お兄ちゃん!」



グイッと腕を両手で掴む。



「うわっ!…お、お兄ちゃんって…何だよ…!」



小声で言う。



「違和感ないでしょう?」


「あのな~……帰れ!」


「やだ!」


「じゃあ学校に行け!」


「もっとやだ!」




「…………」




私の手を掴み、人目が全くつかない路地裏に連れて行く。


壁に押し付け片手で行く道を塞ぐ。



「お前は、俺の立場分かってんのか?」


「うん!」


「だったら、大人しく帰れよ!あいにく暇じゃねーし、ガキ(子供)のお遊びに付き合ってる時間はねーの!分かったか!?」



「ガキ(子供)だから分かんない!」



すると、もう片方の手で頬を摘まれた。




「くそガキ!」


「だって…南波さん良い人そうだし面倒見てくれそう」


「俺は犯罪者!脱獄した挙げ句、お前の友達を利用して巻き込んでいるタチの悪い不良なんだよ!犯罪者に暇潰し相手に頼むの何処にいんだよ!」



「ここ!」



私は自分を指差した。




「………………」



「あーもう、面倒くせーな!」



そして、私を連れてアジトらしき所に行く。




「お疲れ様です!」

「ああ」

「つーか、その女何すか?」

「暇人!」

「ひ、暇人!?」


「つーか…学校の制服ってサボリ?女にしちゃ珍しくねーか?」


「そいつに手を出すなよ!」


「えっ?」


「えっ?って、何考えてんだ?そのつもりで連れて来たんじゃねーぞ!」


「す、すみません!」



こういう光景を見るとやっぱり子分?は、頭があがらなくて謝っている。




「でも、本来なら好きにしろ!って…」




《本来なら…って…やっぱりそうだよね…改めて思うけど…》




「ああ、本来ならな!しかし、そいつは、俺達の子分の友達だ。3人、高校生で同じ位の一番下いるだろ?」


「あー、はい」


「そいつらと交換条件している女だからな。あの3人含め、その女も、その辺の女と違うから、ボコボコにされっぞ!」


「はぁぁっ!?どんだけ強いんだよ!」

「ボコボコって…可愛い顔してる割には強いわけ?」




そして、しばらく彼等は私の遊び相手になってくれた。




「おいっ!女っ!」

「何?」

「そろそろ帰れ!もう大丈夫だろ?」






―――その時だ―――





「南波 了くーん」



「………………」



来客だ。


そんな南波さんの顔色が変わった気がした。




《気のせいかな?》



「おいっ!お前ら女を奥に連れて行け!」



「はい!」

「おいっ!行くぞ!」

「えっ…?」

「早く!」


「女、いいから早く奥に行けっ!」と、南波さん。



南波さんが言うも、私は気にしつつ、二人に手を引かれ奥の部屋に行く。



「どうされたんですか?」


あの脱獄した南波さんが珍しく話し方が敬語だ。




「女の子いない?」

「えっ?」


「ちょっと協力して欲し…く……て…。あれ?今…女の子…」


「えっ?いや、いないですよ」


「そう…?」



しかし、どうやら足音が、私達の方に近付いて来る。


二人が私を隠すようにしてくれている。



「お疲れ様です!」


「ねえっ!今、女の子来なかった?」

「えっ…?…女の子…ですか?」

「いや…俺達だけですよ?」

「あっ!もしかすると…俺達が女装してたから…」



《えっ?…じょ、女装…?》



吹き出しそうになった。



相手は、辺りを見渡すようにキョロキョロする中、彼等は上手く入り口に向けて私を移動させる。



「おかしいわね……」




二人が力強い勢いで押し退けられた。




「み〜っつけた♪」



グイッと私の手首を掴んだ。




《っ…ヤバイ…!…この人…》



見た目は綺麗な女性をして、雰囲気も女性と変わらない顔立ちなどをしている。


しかし力はかなりある。




「すみません…その子は…」

「何!?」



南波さんの取り巻きの一人が口を出す。



「高校生なんだから、やる事やってんでしょう?ここにいるって事は、お前らの仲間なんだろ!?」




話し方が独特だ。


優しい口調でオネエ系でありながらも、たまに男らしい話し方で話す。




「…彼女は…仲間というより仲間の友達で…」


「変わらないじゃな〜い?さあ、行きましょう?ちょっと付き合ってもらえば良いから〜」


「ちょ、ちょっと待って下さい…私は…」



《多分…私はこの人にはかなわない相手だと私は察した》




「待っ…」



スッと私の掴まれていた手が外され間に割って入ってくる人影。



「すみません。彼女だけは譲れません!」



南波さんだ。



「何だと!?」



南波さんの胸倉を掴む。



「俺に口答えすんのか!?」


「先輩とはいえ、彼女は俺が仲間に交換条件として利用している女なんで、すみませんが他当たってくれませんか?」


「チッ!分かったよ!今回は許してやるよ!」



「………………」



「…もう帰れ」

「えっ?」


「さっきみたいな事なる前に帰れっつってんの!2度目はねえからなっ!」



「………………」



私は帰る事にした。



「棚倉 希美!」

「何?」

「気を付けて帰れ!」

「…うん…ねえ」

「何だよ」


「さっきの人…一人で行動する?」

「えっ?」

「あんたみたいに取り巻きいたりするんじゃないの?」

「ないとは言い切れねーけど?」

「そっか…」



私は帰る。


そして―――



「彼女」

「はい?」



ボフッ



「…っ…」



お腹を殴られ気絶してしまった。


私が車に乗せられる瞬間に遭遇する人影。


車は動き出した。




「くそっ!やられたっ!」


「南波さんっ!」

「彼女は?」

「拉致られた!」


「えっ…?ヤバイんじゃ?」

「ああ…無事なら良いけど…何とも言えねーな…」

「奴等…裏でヤバイ事してるって…」

「ああ…俺達よりもタチの悪い奴等だからな…」



*********



私はふと目を覚ます。



「………………」



「ここは…」



その時だ。



「あれ?目、覚めちゃったんだ」



二人の男の人達が入って来た。



「君、可愛いねー」



そう言うと肩を抱き寄せた。



「や、やだ離して下さい!」



そう言うも、制服が脱がされ肌が露わになると、押し倒された。



「や、やだ!離…っ!」



キスされた。



私は暴れ抵抗し、相手の股間を蹴った。



「…っ!」


「この女…!」


「私を甘く見んなっ!下っ端の不良くらいボコボコに出来るんだから!」




私は飛び出した。



「ちょっと〜どうしたの〜?騒々しいわね〜」


「女が逃げました!」


「はあぁぁぁっ!?女に逃げられたって…」


「あの女…その辺の女子じゃないっすよ!」


「下っ端くらいボコボコに出来るって捨て台詞言って逃げ去ったんですから!」



「へえー…南波ちゃん、何処であの女見つけたのかしら~?大した女ね〜」



とにかく私はひたすら逃げる。


だけど、ここが何処だか分からない。


ホテル街には辿りついたものの――――




「彼女、どうしたの?」

「高校生じゃん!」


グイッと肩を抱き寄せられた。


ビクッ


「可愛い〜」


「そんなに可愛いのに男に逃げられたの?」




私は押し退け走り去った。





私は路地裏に行き身を隠し腰をおろす。



ふと時計を見ると、時間は夜9時を廻っている。




《学校に行かなかった罰があたったんだ…》





その時だ。



「……お前…」



誰かが私の前に腰をおろす。



「…南波…さん…」



私は南波さんに抱きついた。




「…無事だったんだな…今から俺の所に来い!身体は大丈夫か?」


「…大丈夫。でも…なんか怠(だる)いかも…」



私は南波さんにおんぶされ、いつの間にか眠っていた。



『恐らく睡眠薬だろう。怠さと眠気がくるはずだ』



そう言われた。


 

睡眠薬は、病院でも渡されるやつだから問題はないものの、彼等は裏社会で、ヤバイ奴等と繋がっている確率が高いと。 


南波さん知っておきながらも、油断していたと言っていた。



私達は移動する。




「あれ?了、その子は?」




《…了…?呼び捨て?》



さっきとはまた別の取り巻きのようだ。


下の名前で呼ぶとなれば、かなり親しい仲なのだろう


私は微かに聞こえる声に反応しつつも、すぐに眠気で瞳を閉じた。




「…ちょっとな…」


「手伝おうか?」


「いや…大丈夫だ。それより奴等を呼び出して欲しい」


「奴等?」


「ああ…この女と交換条件出している3人、下いんだろ?」


「あー、奴らな。分かった」



私を奥の部屋に連れて行く。



「一体何があったんだよ?」

「先輩に見つかって拉致られた」

「えっ!?先輩って…何してんだよ!」



胸倉を掴まれる。



「俺も油断していた。あの女から言われた時、見張りをつけてれば…」


「つけた所で、ボコボコだろ?あの先輩だぞ?」


「…そうだな…」




「失礼します」


「南波さん、何ですか?」


「呼び出すくらい大事件ですか〜?ていうか…俺達が呼び出される事は余程の事なんでしょうか~?例えば…彼女に何かあったとか?」



「………………」



「それが返事なんですね」

「ちょっと待てよ!」

「話ちゃうやろ!?」



私は顔を出す。



「南波…さん…?」



「「希美ちゃん」」


「希美」



「…何で…?どうして…?」



顔馴染みの3人がいた。



「俺が呼び出したんだよ!」


「…えっ…?」




私に歩み寄ると肩を抱き寄せる。




「どういう事か説明して頂けますか?南波さん」


優人君が尋ねた。



「彼女は、ある奴等に連れて行かれた」

「えっ…?」


「相手は、その辺の奴等とは違う。裏社会に繋がっている可能性のある奴等だ」



「………………」



「身体の関係がなかったとは言い切れない」

 


「………………」



「俺が抱くか、3人の誰かに抱かれるか…交換条件は彼女がお前らにはかかっているって事だ。俺が抱けば、お前らにはまだまだいて貰う事になる。しかし、お前らなら自由にして解放し元の生活に戻してやるよ」



「私…南波さんに抱かれようかな?」


「希美ちゃん?」

「希美?」


「そうなんや…別にええんちゃう!?」

「勇ちゃん!?」

「勝手にすればええやん!帰るわ!話すだけ無駄や!」


「勇ちゃん!」

「勇真っ!」



帰り始める勇真君の背中に向かって



「勝手にするよ!…本当は…犯罪を犯して欲しくないって思っていたけど…なんか楽しそうだし!勇真君なんか美人な彼女がいるみたいだし!」



「えっ?彼女?」



足を止め振り返る勇真君。



「何言うて…勘違いしてるんちゃう?俺は…」



更に話を続けるも言葉を詰まらせた。




「ごめん…みんな…それから…ありがとう…みんな私の事を思って仲間入りしたみたいだけど…そんな私がみんなを裏切っちゃったね…みんなと過ごした時間楽しかったよ。行きましょう。南波さん」



私は南波さんの腕を掴み奥の部屋に移動する。




「希美ちゃん!」と、優人君。


「希美っ!」と、蒼介。



「………………」



「勇真っ!」


「勇ちゃん!」


「止めるだけ無駄や!勝手にさせておけばええやん!アイツが決めたんやから…」



「……………」




3人は帰って行った。



南波さんは私を抱きかかえ、お姫様抱っこをしベッドに乗せると両手を抑えた。



「お前、本当に良いんだな?」


「良いよ」



「………………」




南波さんはキスをし、首筋に唇を這わし下へ下へと


身体に触れながらも更に進めていく。



怖いのと、本当にこれで良いのだろうか?


色々と葛藤をする。




「棚峅 希美。ちょっと我慢しろ!」


「えっ?」



次の瞬間、一瞬、下半身が痛くなる。



「…った…」



キスをし、起き上がらせベッドに腰をおろすと抱きしめた。




「本当に後悔しない奴に捧げな」


「えっ…?」



抱きしめた体を離す。 



「勇真もお前も満更じゃねーみたいだし、お互い素直になった方が良い」


「…南波さん…」


「アイツら本当に良い奴だよ。俺、出頭するわ!嫌な思いさせたな。奴らにはもう手は出さねーから安心しろ!普通の生活に戻してやるよ」


「えっ…?」


「ヤられてもねーなら、するだけ無駄!手、出してなきゃ話は成立なんだよ。アイツらの努力、無駄にするな。棚峅 希美。勇真と仲直りしな」



頭をポンとすると、ベッドを離れて




「南波さん…待っ…」




ドサッ


ベッドから落ちる私。




「ぷっ…ダッサ」

「なっ…!」



手を差し出し、私を立たせる。


そして、抱きしめた。




ドキン



「お前といると調子狂うわ!」



抱きしめた体を離し、去り始める。




「南波…さん…」



私はベッドに腰をおろす。




「3人、途中まで送って、後は取り巻きに任せておいた」


「ああ、悪い。真都(まなと)俺、出頭するわ」


「えっ?」


「これ以上は時間の問題だからな」


「…そっか。じゃあ、俺も帰るよ」


「ああ。気を付けてな」




私も奥から出てくる。



「帰るのか?」

「うん帰りたいけど…こんな時間に一人は……」

「…俺に遅れと?」

「だって…」


「お前、何様のつもりだよ」

「王女様」

「…はあぁぁあっ!?お前、鏡見てモノ言えよ!」

「蒼介みたい!」

「いや、アイツはアイツだろ?俺は俺!」


「ぷっ…おもしれーな。二人共。まるでガキの会話じゃん!俺が送ろうか?」




その時だ。



「了っ!!」と、一緒にいた男の人が言った。



何かを察したのか、グイッと私の手を掴む南波さん。

そして、奥の部屋に行った。



「何?」

「黙ってろ!」




カツカツカツ…


手前の部屋に誰かが入ってくる。




「………………」




《…誰…?》




「さーーとーーるーーちゃーーん。いるんだろ!?」




私は恐怖で南波さんの洋服の裾をぎゅうっと掴む。


それに気付いた南波さんは、グイッと抱きしめる。



「案外、女も一緒かな〜?」




《女…!?まさか…私!?》



「大人しく出てきたら何もしねーけど?」



「………………」




「了ちゃん、5秒待ってやるからさー、その間、出て来てよ」



「1…いーーーち」



「2…にーーー」


「3…さーーーん」




「俺に構うな!いいな!」


「……………」




「4…よーーーん」


「5…ごーーー」




「何ですか?先輩…俺、忙しいんですけど」


「女は?」


「女?誰の事ですか?」

「昼間の女だよ!」

「…昼間の女…?」

「ここにいただろ?高校生の女だよ。何処にいる?」


「ここにはいませんよ。その前に俺は彼女とは何の関係もないですし。俺の仲間の友達なだけですから」


「じゃあ、ここにはいないのか。じゃあ良い」


「何かあったんですか?ていうか彼女の事、どうして先輩が尋ねてくるんですか?その理由が分からないんですけど…」


「いないなら良い!帰るぞ!」



取り巻きも一緒だったのか、そう言って帰って行く。


「はい」





「………………」



「ヤベーな…」



戻ってくる南波さん。




「下手に動かない方が良いな。おいっ!今日は泊まれ!危険過ぎる」


「了」


「何だ?真都」


「どうするんだ!彼女、俺が送ろうか?」


「いや。泊まらせる。後、警察(さつ)に連絡して見張りを付ける。どうせ出頭するし」


「そっか。俺も様子見て帰るよ」


「ああ。その方が良いだろうな。棚峅 希美。お前は、ベッドで寝ろ。何かあったら呼べ」




去り始める南波さんの洋服を掴み、引き止める。



「いて」


「えっ?」


「ここにいてよ。正直、怖いんだけど」


「一応、女なんだ」


「い、一応って…失礼な人!」



クスクス笑う南波さん。






本当は犯罪者なのに


そんなズルイ笑顔を見せる あなた


勇真君との間を揺れ動く自分がいる




―――最低だ―――



真実が分からないから


あなたの隣にいた女性が


誰なのか


私の心を迷わせる





























































































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