第14話 情報〜転校先は不良(ヤンキー)校!?
「おーーい、勇ちゃーーん。どうしたーー?」
「えっ?」
「最近、ぼんやり多いぞ〜」
私の知らない所で、3人は集まっている。
「希美ちゃんの事〜?それとも他の事〜?」
「何で希美ちゃんが出てくんねん!」
「いや…何となく〜。ていうか~好き寄りに近いんでしょ〜?」
「えっ?」
「まあ、最近みんな、希美ちゃんと余り絡んでないし〜」
「仕方なくねーか?俺達、アイツの為を思ってしている事だし」
「せやけど…アイツは望んでへんのとちゃうか?」
「知ったら怒られるだろう?」
「ちゅーか…いつまで続くんやろう…って思うねん」
「えっ?」
「何が?」
「この状態…お前らはええ方やけど…俺…あんな所、目の当たりすんの嫌やねん」
「………………」
「…俺…手出す事は…あらへんけど…何であんな事が出来るんやろ?って…女に暴力振るうて…力で押さえつけて…どんな手を使うてでも…女を黙らせんのって……」
「俺達…見張り役だから良いけど、共犯者と変わんねーからな…」
「ある意味ね〜…」
「…窃盗罪…」
「…万引き…」
「…強姦…」
「全てにおいて…みんな良いものじゃないし…傷付けて…何の意味あるんだろうね……」
***************
「つまり…そういう事になる」
「…そう…分かった…ありがとう…」
私は、ゴリラさんに3人の情報を教えてもらった。
こっそりと私に協力をして動いてくれていたのだ。
「まあ、アイツらは手は出していないだろうとは思うけど…つーか…パシリみたいなもんだろ?上の命令に従ってる感じじゃないか?」
「…そう…だよね…大丈夫だよね…」
「南波さんが…交換条件出してるとしても…希美ちゃんが心配するような事はさせていないはず…まあ、仲間入りしてるとしても時間の問題だろうと思う」
「…ありがとう…」
「それじゃ。また何かあったら報告するから気を付けて帰って」
「うん…」
私達は別れた。
その日の帰り――――
「…あれ…?…勇…真…君…?」
彼の隣には、美人系の女の人。
「………………」
私は見てみぬふりをし、そこを足早に去る。
―――その途中―――
ドン
誰かとぶつかった。
「いってーな!」
「す、すみません…」
私は一言謝り、去り始める。
「おいっ!待てよ!!謝るだけ?」
グイッと腕を掴み引き止めた。
「えっ?」
「へえー…君、可愛い顔してんじゃん!」
「高校生?」
「じゃあ…やる事やってんでしょ?」
「えっ?な、何言って…ち、違…」
「またまた」
グイッと肩を抱き寄せられる。
「や、やだ…。ちょっと…離して…」
「良いじゃん!」
「ちょっと付き合えよ。ぶつかったお詫びに」
「えっ…?」
強制的に連れて行かれる。
「や、やだ…!」
私は人目のつかない路地裏に連れて行かれる。
ドサッ
「や…辞め…」
いつもなら力が出せるのに、あんな光景を見てか力が出ない。
「騒いでも、誰も来ないよーー」
「つーかさ…違う声で俺達を楽しませてよ」
ニヤニヤしながら制服を荒々しく脱がし始める。
「や…」
その時だ。
「おいっ!何してんだ!?」
「あ?うるせーな!今から良い所……」
私から相手は引き離される。
「良い所ねーー。それは悪かったなーー。でも…この女に手出したら許さねーぞ!」
《…誰…?》
「てめーっ!」
殴り合いになり、相手は、あっという間にやられ逃げ去った。
「大丈夫か?」
ビクッ
さっきの恐怖からか体が強張った。
「安心しろ!何もしねーよ」
「………………」
「早く帰りな。…つーか…この間の勢いとは全く違うじゃねーか」
「…えっ?」
「俺の取り巻き廻し蹴りした挙げ句、今日は、この様かよ」
《…誰…?》
《取り巻き?廻し蹴り?》
「ぷっ…さっきの勢いで頭が真っ白か?ヤったわけじゃねーのに」
「………………」
微かな灯りで見えたのは
「……!!!南波 了っ!?」
まさかの相手に一気に我に返るのと、驚いてつい、叫んでしまった。
「バカっ!声でけーーよ!!」
《嘘……コイツに助けられたの!?》
「………………」
「帰れるか?」
《本当に…アイツ?何で優しいの?これが本当の南波 了なわけ?》
「…たぶ…ん…」
「多分って何だよ!」
「だって……」
「…まあ、無理もねーか…あんな事あったしな…」
《別人じゃん!》
「3人、呼ぼうか?」
「3人…?」
「知ってるんだろう?俺がアイツらを利用してんの」
「…それは…でも…詳しい事は…知らない…アイツら…何も話してくれないから…ていうか…3人呼び出したら逆にヤバイんじゃないの?……交換条件か何か知らないけど…あんたの立場悪くなるんじゃ…」
「へえー…」
「何?…ていうか…私…正直、会いたくないから……」
「えっ…?アイツらに?仲間か友達だかしんねーけど…仲良いんだろ?」
「…とにかく…一人で帰れますから…お気になさらずに。さようなら」
私は帰ろうとするが
「…っ…」
どうやら、さっき怪我をしたようだ。
足に痛みがある。
「どうかしたのか?」
「いいえ。別に」
「…今、別の奴等呼んだから送ってもらえ!3人に会いたくねーんだろ?後、俺が疑われんのは面倒だからな」
確かに会いたくない
特に勇真君には
どんな顔で会えば良いのか
その前に来れる保証もない
女の人と一緒だったのだから――――
私は、さっきの光景が浮かび泣きそうになった。
「………………」
「仲間には手を出すな!と釘を刺すから安心しろ」
「…はい…」
「おい、お前、本当に大丈夫か?」
「えっ?」
歩み寄る、南波 了。
そして、両手で両頬を包み込むように触れる。
ドキッ
《わわ…》
「そんなに怖かったのか?」
「えっと…」
「………………」
《至近距離!近っ!》
「お前…マジ可愛い顔してんのな」
ドキッ
《脱獄犯の口から可愛い?》
「えっ…?」
「後、純情過ぎだろ?」
パッと離すと頭に触れる。
ドキン
「お前…前に愛した女に似てるよ」
「えっ?南波さん?」
「平気なふりして、意地張って」
「…同級生…だったんですか?」
「…いや…年上…それに一応彼女いたし」
「ええっ!?」
「今、最低と思ったろ?」
「い、いいえ!驚いただけです」
ツンとオデコを突っつかれた。
ドキン
「お前、顔に出過ぎだし!」
「えっ…?」
「嘘だけどな」
微笑む南波さん。
「その前に暗くて良く見えねーだろ?何となくでしか見えねーし!」
「それは…まあ…そうなんですけど…」
そして、電話が入る。
「中に来い!」
そして、二人の男が入ってきた。
「………………」
「頼んだぞ!後、手は出すな!その目的の為に呼んだじゃねーからな!」
「了解ッス!」
「分かりました」
「じゃあな」
そう言うと私は二人に連れられ帰って行く。
「ねえっ…!あんた、その愛した人の事、本気で愛してたんだよね?」
「ああ」
「彼女よりも?」
「…そうだな…好きな女…傷付けたのが俺にとって一番の後悔かもな…」
微笑む中、何処か寂しそうにする南波さんが凄く印象的だった。
《傷付けた…あんな表情するくらい…余程の事だったんだろうな…》
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