第8話 救世主〜転校先は不良(ヤンキー)校!?
「棚峅ちゃん、顔、赤ないか?」
「えっ?大丈夫だよ」
「…ホンマか?」
「うん」
スッとオデコに手を当てられる。
ドキッ
「熱あるやん!」
「………………」
「保健室に行くか、早退…」
「大丈夫!」
「大丈夫なわけないやん!保健室に行こ!」
私の手を掴む。
「待って!やらなきゃいけない事があるから!だから!お願い!」
「せやけど自分の体……」
「…ゴメン…」
「………………」
そして何とか1日を過ごしたものの、その日の帰り、一人フラフラと帰っていると
「あれ…?その制服って…○○高校じゃん」
「女いたっけ?」
「…今年…から…」
「へぇー…じゃあ…君、可愛い系だしモテるでしょ?」
「いいえ」
「こんなに可愛いのに?」
「見た目は良くても結構性格…悪いので…すみません失礼…」
グイッと腕をつかまれ引き止められる。
「きゃあ!」
体調が悪い為、普段の倍、体が大きくグラリとフラつく。
「少しくらい付き合ってくれても良いじゃん」
「すみません…私、急いでいるので」
「良いじゃん!」
「すみません…本当に…」
グイッと肩を抱き寄せる。
「や、やだ!離して下さい!」
「案外、男子校だし、やる事やってるとか?」
「えっ…?」
そう言うと耳元で囁かれる。
「楽しい事しない?初めてじゃないんでしょ?」
そして、うまい具合に、路地裏へと連れて行かれ、壁に押し付けられた。
慣れた手付きで制服のボタンを外していく。
「ちょ、ちょっと!やだ!辞め…」
「初めてじゃないくせに!こういう事するの」
「違…!私は…」
「もしかして初めて?」
スカートの下から手が伸びてくる。
「や…」
私は何とか押し退け逃げようとするが力がでない。
体が言う事を利かないのだ。
体調不良で本領発揮ではない為、フラつく体が足元を狂わせ、地面に転倒してしまった。
「好都合!一気に済ませ…」
押さえかかる寸前の所で、相手が離れ、私の前に立ち塞がった。
「うちの女子に手出すの辞めてくれへん?」
《…関…西……?木戸…君?》
「何だよ!邪魔すんなよ!」
「そこ、退けよ!」
「退くわけないやん!失せろや!」
「野郎っ!」
襲い掛かってくる彼等。
「喧嘩は嫌いやねんけどなぁ〜」
ドカッ
「…つ…」
相手は崩れ落ちる。
《嘘…木戸…君…?》
「すまんなぁ〜…手加減したつもりやねんけど…」
《…違う…いつもの木戸君じゃ…ない?》
《熱のせいで…ボーッとしてるから?》
「………………」
「まだやるん?」
「チクショー、覚えてろよ!」
そう言うと足早に走り去った。
私は安心してか体が崩れ落ちる。
グイッと抱き留める木戸君。
そして、抱きしめた。
ドキン…
「頼むから寿命縮ませんといてな」
「…木…戸…君…」
「ほら!帰るで!」
「うん…」
私は泣きそうになった。
先に帰り始める木戸君。
体調不良の時の優しさは泣きそうになる。
「棚峅ちゃん?」
足を止め、振り返る。
「…ゴメン…」
「何で泣くん?」
気付いたら涙目になり、涙が溢れていた。
「きついんか?」
「…それも…ある…けど…」
「……………」
グイッと抱き寄せ抱きしめられる。
「無理するからやろ?」
「だって…」
「落ち着くまで、付きおうてやるから。ゆっくりでええよ。だから、泣くのは辞めるんやで」
「うん…」
私は木戸君の背中に手を回した。
彼は優しい人なんだ……
みんなも優しくて良い人だけど
彼は特に優しい心を持つ
可愛くて
仔犬みたいな男の子
そして――――
たまに小悪魔になる
私の中の彼の存在だ
これが恋に変わる事
あるのかな……?
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