第9話 モヤモヤ感〜転校先は不良(ヤンキー)校!?

ある日の学校帰り、いつものメンバーで一緒にいると



「あの、すみません!」



3人の他校生の女子生徒が、私達の前に来て、呼び止めた。




「………………」



「少しお時間もらえますか?」


「それは構わないけど〜、誰に用事あるのかな〜?」


「えっと…」




一人の女子生徒が顔を赤くしたのが分かった。




「彼に…」



木戸君を見る。



「お、俺!?」


「行ってら〜」


「じゃあね〜」




「………………」



私達3人は、ファーストフード店に待機する。


2人は、色々と話をする中、私はぼんやりと外を眺める。




《このモヤモヤは何だろう?》




そして―――――




「よっ!色男!」と、蒼介。


「えっ!?何で色男なん?」


「告白でしょう?」




「………………」




私はチラッと見て再び外を見る中、私の隣に腰をおろす木戸君。




「そりゃ、確かに告白されてんけど、俺、気になる奴いるって断ってん」




《えっ?気になる人?誰!?》

《いやいや、私には、関係ないし!》



私は自分で自問自答する。




「えっ!?気になる奴いんの?」と、蒼介。


「誰〜?」と、吉良君。


「いや…そっちの方がええかな?と思うて」


「じゃあ、好きな人いないの〜?」


「いや…いないとなると…嘘になんねんけど…」



「じゃあ、いるのか?」と、蒼介。


「…微妙…やな…。まだ自分の中でも良く分からへんねん」


「友達から付き合ったら?」と、蒼介。


「まず仲を育む事が大切だよ〜」と、吉良君。



「そうなんやけど……おーーい、棚峅ちゃーーん?」


木戸君が呼んだ。



「何?」




振り向くと同時に口の中にポテトを入れられた。




「!!!」


「うまいか?」と、木戸君。


「それは…」


「勇真。美味くない方が、おかしいぞ?」と、蒼介。


「そうだよ〜」と、吉良君。



「つーかさ、2人って、案外お似合いなんじゃね?」


蒼介が言った。



「えっ?」


「あ〜確かに、可愛いカップルに見られそうだよね〜」



《な、何言って…》




「可愛いカップルなんやて」

「そ、そうみたいだね?」

「カップルやないねんけどな」


「うん、そうだよねーー?それにお互い選ぶ権利あるしーー」


「そう。あるんやけど…別にお前ならええけどな?」




ドキッ



「えっ?」

「おっ!」

「今、サラッと告った〜?」


「ち、ちゃう、ちゃう!場の雰囲気で流れでな…せやけど、正直、悪くないで?これホンマやで?」




《わわ…どういう顔すれば良いの?》



「うわっ!希美が顔赤くしてる!」と、蒼介。


「可愛い〜♪」と、吉良君。


「それは…いきなり、そんな事言われたら…どういう顔すれば良いか分かんないし!」




みんなが笑う。


そして、これを機に私達の関係が変わってくるのだった





ある日の事。


「なあ、棚峅ちゃんの事、下の名前で呼ぼう思うてんけど、かまへん?」


「えっ?」


「あっ!駄目ならええんやで?別に無理に頼まへんし」



「クスクス…」



《可愛い♪》



申し訳ないような、慌てて焦る感じで無理矢理に強制的はしたくない感じが表れている。




「大丈夫だよ」


「ホンマ?」


「うん」


「いや…蒼ちゃんみたいに名前を呼び捨てはでけへんけど…せやから、希美ちゃんも俺の事を下の名前で呼んでもらって構わんから」


「分かった。じゃあ、勇真君だね」


「お、おう!」




何か変な感じで初々しい純情カップルみたいな会話。


今までとは違う男の子だ。




そこへ――――



「何、コソコソと二人で話してんの〜?」


吉良君が尋ねた。



「名前の呼び方を話し合ってたんや」


「名前?」


「俺、棚峅ちゃんから呼び方変えようって相談しよったんや」


「そうなんだ~。それで〜?」


「希美ちゃんに昇格や!」




ニカッと笑う勇真君。



「コイツは希美で十分だろ?」と、蒼介。


「蒼ちゃんは、いつも言い合ってるから〜。じゃあ俺も、お願いしちゃおうかな〜?」


「何?」


「俺も下の名前で呼んで♪」


「じゃあ、吉良君から、卒業して優人君だね」


「わ〜い、進展した~♪」




私達は笑うのだった。



こんな男友達も珍しい気がする。


つくづくみんなの良い所が見えてくる。


それにみんなといると楽しい。





その時――――



「おいっ!蒼介っ!」

「うわっ!びっくりした!」

「久しぶりじゃねーか!」

「出たよ!ゴリラ野郎!」

「なっ!」



「おっ!相変わらずいる!俺の仔猫ちゃん♪」

「こ、仔猫…ちゃん…!?」



初めて言われた。




「いやいや、コイツは仔猫じゃねーぞ!」


「可愛いじゃのーかよ!名前知らねーから仕方ねーだろ?なあ、仔猫ちゃん。是非とも知りたいね!せっかくだし教えて♪」


「えっ?」


「希美、名前押えたら最後だぞ」


「名前、言うてるやん!」


「希美ちゃんって名前なんだ♪俺は…」


「てめーの名前に興味ねーぞ!」


「なっ!」



彼等は騒ぐ。




「………………」



《仲良いのか悪いのか……》




私は、その光景を見つめる。


優人君は、やれやれと両手をあげ呆れている。


勇真君は、携帯を弄りだした。



「あっ!そうや!なあ、希美ちゃん、連絡、交換せーへん?」



「えっ?」


「あー、俺も、俺も〜」


「俺にも教えろ!希美」


「じゃあ、俺もーー」




ベシッと、相手は打たれたる。



「てめーは、部外者だろ!!ゴリラ野郎!」

「うるせー!交換くらいいいじゃねーかっ!」



《また始まったし》



そんな中、連絡を交換しあうのだった。

















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