第21話 迷い子

朝起きて事務所への集合時間迄に時間が有るのでその辺をプラプラしていた。おれも死んでから半年近くなるが一部の地縛霊や浮遊霊以外のアスパラ人間は成仏するのか顔ぶれが変わる。まだ小さい子が親を探すように戸惑いながら歩いてたり、宙を浮かび彷徨うアスパラの生えた球体も見かける。球体は何かしらの事情で生命は芽ばえたが生まれて来れなかった子供らしい。中水流と村上から「アスパラには出来るだけ女でも子供でも関わるなよ?基本死神達の仕事だから安行みたいな問題児が現れて頼まれなければ接触するな」と言われて居るのだが、最近1ヶ月近く泣きながら親を呼びながら彷徨ってる10歳位の子が居た。いつも泣いて歩き続けてるので気になってた。中水流が死神にその子の事を聞いたら力が付いてて手が出せないと言う事らしく「あいつ等ホント使えねー」とぼやいてた。今日も泣きながら歩いてて見るとアスパラが少し大きくなってる……おれは中水流と村上にその子の事を言うと「知ってるよ!話し掛けたりして変に情が移るともしもの時に辛いぞ……」と言うので気にはなるが、そっとして置くことにした。外に出ると今日も泣き声が聞こえてくる。見てるとアスパラ人間も時折(どうしたの?大丈夫?)みたいな感じで話し掛ける者も居たが困った顔をして直ぐにいそいそと行ってしまう。おれは見兼ねて話し掛けてしまった……が話しが出来ないらしく困って何となくその子の手を握ってみた。すると会話で無いが、その子の感情が伝わって来てそれは、家に帰りたいけど場所が判らない……お母さんに会いたい……弟と遊びたい……色んな感情が伝わって来た。家の場所もココからそんなに離れてないけど判らないみたいだ。おれは1回その子から手を離して勝手にその子の家にと足が向いていた。

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