第5話

「はーい!おはよう!結衣ちゃん!」(ああ!可愛い!絶対将来美人になる!たまりませんな〜)


 俺が玄関の扉を開けると、黒髪ショートの可愛らしい女の子が着物を着て待っていた。


「あっ!おはよう!真君!あ!ネクタイ曲がってるよ!私が直してあげる!」


「ありがとう!結衣ちゃん!」(うっひょ〜!良い匂いだ!サイコー!ありがとう沙織様!!)


「うんしょ、うんしょ、、、はい良いよ!真君!」


 結衣は笑顔で真に挨拶し、慣れない手つきで真のネクタイを一生懸命直して真から離れた。


「あら、結衣。朝からイチャイチャして、このまま真君と結婚するのかしら?」


「何ぃ!結衣ちゃんはパパと結婚するって言ってたぞ!そう言う訳だ真君、すまないが別の人と結婚してくれ」


 そう言って現れたのは、黒髪ロングのいかにも仕事出来ます感を漂わせたスタイルの良い美女と茶髪のイケメンの夫婦、神宮春美と神宮清だ。


 バシィ!バシィ!


「痛い!何するんだ春美!それに結衣ちゃん!なんでパパを殴るんだい?こんなにも愛しているのに〜」


 頬を叩く良い音が2回なった後、清の情けない声が神谷家の玄関に広がる。


「パパなんて嫌い!行こう真君!」


 しかし、愛娘である結衣にはちっとも響かなかった様だ。結衣は真の手を引き玄関を出て行ってしまった。


 ———————————————————————

 悠也視点


「ぐぬぬぬぬ!おい悠也!お前の息子だろ!なんとかしろ!人の娘を誑かしやがって!」


 俺の目の前で同級生の清が、俺の息子である真をどうにかしろと文句を言ってくる。


 しかし、なんとかしろと言われてもどうしようもない、結衣ちゃんは真に惚れているし、真も少なからず良いと思っている様だし・・・


「落ち着けよ清、春美さんが般若みたいな顔でお前の事を睨んでいるぞ。

 それに、何がダメだって言うんだ?良いじゃないか将来結婚するかも分からんのだから」


 俺は般若みたいな顔をした春美さんに、睨まれている清を落ち着かせようとした。


 しかし


「い〜や!真君からはお前と似たオーラを感じる!女たらしのオーラをな!!

 俺の初恋の人と付き合っておきながら、いつの間にか別れて静流さんなんて言う超絶美人と結婚した、お前と同じな!!

 これは真君の為でもあるんだ!男を作らない為にも!止めなくては!」


「・・・・・・あ〜清?一旦落ち着いて後ろ〜見たほうが良いぞ?それと・・・あ〜嫌何でもない。

 取り敢えず後ろ向こうぜ」


 俺は熱弁を振るう清を見てる様で、後ろの般若から阿修羅に変わりかけている春美さんを見ている。

 それに、清の初恋の人って滅茶苦茶、清楚な見た目の美人さんだったけど・・・ビッチだった。

 お前が惚れているって言うから、どんな奴がタイプなのか周りに聞いたりしていたら良くない噂が流れて来たから、確かめたんだが・・・まぁ、言う必要はあるまい、心の中に留めておくよ親友!


「後ろ後ろってうるさいわ!志村じゃあるまいし!化け物がいたらすぐに分かる!・・・・・・・・・

 ヒィィィィィ化け物!!!!!!!!

 ・・・んっ?なんだ春美じゃないか、びっくりさせんなよ。悠也、話しを変えようったってそうは行かない!・・・・・・・・んっ?スゥゥゥゥゥなぁ悠也」


 目の前に居る清が、この後死ぬ契約書にサインをした後、顔を真っ青にして俺に問いかけてくる。


「なんだ?」


「俺達、親友だよな」


「まぁ、小学校から一緒だったし、親友だろ?」


「そうだよな!ハハッ!・・・助けてくんね?」


「うん、無理」


「すいませんでしたっ!命だけは!ご勘弁を!」


振り向きざまに玄関で土下座をかました親友(笑)

 春美さんはどう出る!


「ふぅん、ねぇ。

 私じゃダメなんだ、そう。

 貴方から結婚して欲しいって言ってくれたのに。

 やっぱり家事が出来ない女は嫌よね、ごめんなさい。グスッ、良いわ、貴方がそう言うなら別れましょう。結衣は私が引き取るわ、結衣の入学式には来ないでね。貴方を見ていると苦しくなっちゃうから」


「ごめ〜ん!!違う!違う違う違う!」


 清よ、頑張れ。俺から言えるのはこれだけだ。

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