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りんと2人でたらふくコンビニスイーツを平らげたあと、なんとなくそのまま一緒に帰宅の途についた。
倖は少し前を行くりんの後ろを、先程からの予想もしていなかった怒涛の展開に頭をフル回転させながら歩いていた。
りんの話は、俄には信じ難かった。
信じ難いが、倖自身が実際にその目でしっかりと視てしまっている。
ゾンビ映画にでも出てきそうな、皮膚が焼けて真っ赤に爛れた、人のようなものが蠢くさまを。
視てしまったが、それでも現実として受けいれられていない自分も、確かにいた。
最初は何かの冗談かと思ったのだ。
例えばりんの友人が倖を騙すために、あのグロいのを演じているとか。
けれど、りんにそんなことを頼める友人がいないことなど、倖がよく知っている。
では、以前の学校の友人なら?それもすぐさま脳内で却下する。倖が眼鏡をかけたのは全くの偶然だ。その偶然を狙って遠くから友人を呼び寄せて、あんな大掛かりな格好で配置しておくなど、出来るはずもない。それにそれでは、眼鏡を取ると消え、かけるとすぐに視えた説明がつかないし、第一あんなものが目に見える形で這いつくばっていれば、運動場で部活動をしている生徒が気づかないはずもない。
眼鏡がAR用のデバイスではないのか、と疑いもしたが。そもそもりんはARという言葉さえ知らない様子だった。眼鏡も普通の眼鏡でどこも不審な点はなかった。
りんはコートを避け左端へと歩いてゆく。
運動場の真ん中ではサッカー部が元気に部活動をしているので、ゴール横を通って帰るのだ。
ブロック塀横の花壇では背丈の低い色鮮やかな花が、風に吹かれて寒そうに揺れていた。
倖はふと、そういえば、と思う。
「なぁ、そういや、結局ここに何置いてたんだ?」
濁したってことは幽霊関係なんだろ、と倖が前方を歩くりんに問いかける。
「……。」
りんは振り返ってばつが悪そうに倖を見ると、そのまま立ち止まり無言で花壇の方へと視線を移した。
「ゴミ、置いてたわけじゃないんだろ。」
「……あれが、内蔵、置いてくじゃないですか。たまにあれにつまずいて体調崩す人がいるから、転ぶ人がいないように、どかしてました。」
「……あれで転ぶやつがいるのか?……篠田か。」
確か、りんと2人で帰っていたときに何もないところで転んでいたのは、同じクラスの篠田ではなかったか。
「篠田さんと今田さん。あれに躓いて体長崩して一週間休んでました。……でも。」
りんは逡巡するふうを見せて結局口を噤んだ。
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