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ふーん、と面白くなさそうな顔で相槌をうつ倖に、りんは冷や汗をかきながら説明を終える。
端から幽霊視えるから、などと言えるわけもない。
「お前コンタクトにしないの?」
眼鏡ってすげー邪魔くさそう、と倖が残りのクレープを口に放り込む。
「……コンタクトは、痛くて無理でした。」
「そんだけ?」
「それ以外に何かありますか?」
「……何でもないでーす。」
コンタクトにかこつけて眼鏡取らそうったってそうはいきませんよ、とりんは白玉に先割れスプーンを突き立てた。
「そういや、俺、眼鏡ってかけたことないかも。」
「サングラスとかでもですか?倖くんはどんなデザインでも似合いそうですよね。」
慶くんはよく伊達眼鏡かけてますよ、とりんが言うと、あいつのは職業柄じゃねぇの、と倖が言った。
「サングラスも伊達も、かけたことないかな。」
倖の言葉に、あ、とりんが声を漏らしカバンをごそごそと探り出した。
「前の眼鏡、予備で持ってきてるんですよね。かけてみますか?」
「お、かける。」
幅が合うかわからないんですが、と黒縁の眼鏡をりんは差し出した。倖は、ちょっとまて、とスマホでインカメラを起動すると鏡代わりに持ち、りんの眼鏡をかけた。
「うぉぉっ!!」
その途端ギュッと目を閉じて眉間に手を当て倖は悶えはじめた。
「どうしました?大丈……あ!」
「め、目が潰れる……!」
「お、大げさですね。でもそういえば度入りでした。すみません、倖くん、外してください。」
「いやまて、頑張る。」
そんなこと頑張らなくていいのでは、と口から出かかったが頑張って目を開けようとしているので倖の好きにさせてみる。
「うーん、何も見えん。」
倖は顰めっ面をしながら薄目でスマホの画面を睨みつけているが、どうやらぼやけて見えないらしい。
「倖くん、視力いくつですか?」
「両目とも2.0。」
「めちゃくちゃいいですね。私ド近なんで、その眼鏡の度数かなり強いですよ。」
目悪くなっちゃいますから、と外すように促すが、倖はふいに運動場に視線を移すと、そのまま動かなくなった。
何を見てるのだろうかと同じように見下ろしてみるが、相変わらずサッカー部が走り回っているだけだ。
「どうしました?」
「……何だあれ。」
気持ちわる、と倖は口を手で覆うと座ったままフェンスの方にズリズリと近寄り金網に顔をくっつけた。
何がそんなに気持ち悪いのかとりんもフェンスにくっついて目を皿のようにして茶色い地面を見下ろすが、特に変わったものは見えない。
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