第2話 良いことありそう?♪♪♪

 あ、元の世界では皇すめらぎ 雅人まさとことマサトです。寝ているうちに転生させられ気づいた時には、龍の姿に。しかも、モンスターから助けてあげた事で、女性騎士に惚れられる…………。何でしょう、このシチュエーション。モテ期が龍になってからってどゆことですか!そりゃ、私より龍の方が格好いいでしょうよ。だからって………切ない………。




一体彼女は、どっちを好きになったのでしょう。皇すめらぎ 雅人まさとか、龍の方か?


 う~~ん。考えても埒があかない。ま、どのみち途中で私に飽きてしまうでしょう。こんな美人に好かれた事なんてまずありえないし、奇跡に近いし、モテたことなどなかった私です。取り合えずは今を楽しもうと思いますが。


 彼女はマリンブルーのロングヘアで女性用の動きやすい鎧を装備している騎士なのですが、彼女の心のどこをくすぐったのか、女性から告白される………♪こんな栄誉なことありますか?


 私は、初めてでどきどきしてます♪心臓が飛び出しそうで。あ、龍の心臓って大きさどのくらいなんだろう?素朴な疑問ですね。誰か知っていたら教えてくださいね♪


 でね、私が浮かれ過ぎて肝心なお名前を聞けてないんです……。ならば、地面に文字でお話せねば……。自己紹介しないと先に進めないし……。




(あの時は無事で何よりです、私はマサトと言います。あなたのお名前を教えてもらえますか?)




 文字の形は分かりませんが、彼女は分かるようなのでこちらの知っている文字でそのまま書いてみました。すると、彼女がむち打ちにならないでね。と思うぐらいにこちらを振り向き、感動されて見つめられてます……照れますね♪♪ 


 でも、良かった、嫌われた訳ではないですね。




「やはり、言葉が通じるんだね♪」




 やはり……。という事は言葉を理解しているかどうか少し疑問と感じていたんですね。確証が欲しかっただけですか……。




 私は黙って頷くと彼女は更に嬉しそうでした。笑顔がまた可愛いんですよ。だんだん引き込まれてます私?




「ミ、ミネルザだ。そ……その……私とお付き合いして欲しい?ダメだろうか?」




 ミ、ミネルザさんね……。ホントに私の事を好きになったのですね。助けてあげただけで!?どんな、なれそめでしょう。




(私でいいんですか?その……、龍なんですけど?)




 と、彼女には申し訳ないですけど再確認の為に聞き直します。




「たとえ龍の姿であっても構わない、この気持ちには嘘はつきたくないのでね……。」




 な、なるほど。人や龍という立場を越えていると言うわけですか。私だってこんな綺麗で可愛い彼女がいたらどれ程癒されることでしょう。うん断る理由が無くなりました。お付き合いしたい………。




(いいお名前ですね。こちらこそ、お付き合いしてもらえますか?)




 地面に書いた文字を見て、彼女の顔が明るく喜びの顔に変わりました。眩しくて、スゴく素敵だ。やはり私も、彼女に引き込まれているかな?たぶん。




「嬉しいな、ありがとう♪」




 ズキューーーン!ハートの貫通矢!?で撃ち抜かれました。い、いかん。抱き締めたい……。


 へ、なぁぁぁ!か、か、か、彼女の方が私の顔にハグして来ました!おぉ!む、む、胸の感触がぁ!ド、ド、ドキドキする!緊張しっぱなしです!おっさんにして初めての体験!か、固まってしまって逆に動けない。でも、彼女の気持ちが暖かくて心地好い………。転生されて良かったと言うべきか……。でなければこんなあまーい!出来事など起きなかったでしょう。勿論、他やギルドには内緒の話……バレればお互いにどうなるか、非常に悲しい現実を突きつけられるでしょう。彼女の悲しむ顔は見たくないですからね。素敵な笑顔をありがとう。




(お前たちここで何をしている!)




 おおっ!明るい青色の体躯に翼膜に黄色い紋様……紋様の形は違いますが入ってます。4足で大小ほとんど変わりなく螺旋の形をした角が2本あります。同種族の様ですが、属性などは違いそうです。と言っても私自身が自分の属性を分かっていないので、言いようがありませんが……。




(済まない、少し休憩させてもらっていた。直ぐに、おいとまするよ。)




 先に住処にしていたようですね。ま、こんなに良い所ならね……。




(貴様、何故人間と一緒にいる?)




 おおっと、確かにね。普通はそう言う反応ですよね。




(彼女は、私を好きになってくれたそうだ……。だから、一緒に過ごしたいと思っている。)




 そう言ってる自分が照れるじゃないですか。なんつう事を言わせるんでしょこの龍は……。




(馬鹿な?人間となど無理に決まっている!直ぐに裏切られるぞ!それが分からないのか!)




 そうかも知れません。そう思う事ももっともです。でもやっぱり、私も彼女に惹かれているんですよ。分かります、この気持ち。あなたも彼女が出来たら分かります。何せ私ですら初めてこんな気持ちを体験させてくれてるんですから。




(そうなのかもしれない……でも、私は彼女を信じたい、信じてみたい!)




(ならば去るが良い。お前たちがどうなろうと俺の知るところではない。)




 確かに。彼の言う事ももっともです。ここは、彼女を連れて離れるとしましょうか。私は地面に再度文字を書きました。




(移動します。背中に乗ってください。足元に気を付けて。)




 と右肩を降ろし、彼女の乗りやすいような体制になりました。彼女がその都度驚いてます。




「い、いいのか?」




 私は頷くと翼でそっと彼女の背中を後押し……。すると照れつつも私の背中によじ登りました。私の首の付け根あたりで私にしがみつきます。私に掴まったのを確認すると身体を起こし、翼を広げ、ホバリングで上昇していきます。




「すっ凄い!綺麗だっ!」




 西日差し込むような巨大な太陽が、私と彼女を照らしていました。私も最初はあなたと同じに感動しましたよ。




「グァ!」




 私は行くよと龍語で声をかけました。彼女も分かったようで、




「行く!一緒に行きたい………♪」




 と返事を返してきました。勿論ですよ、今更ダメと言っても遅いですからね♪初めて彼女が出来ました……嬉しい……。そこから彼女、ミネルザとの旅が始まったのです……果報者ですね私…………。




 ハッキリ言って、いや言わなくても嬉しい!何か楽しい予感がします。その下から大丈夫か!?と心配そうに見つめている青い龍の姿がありました………。




 さてさて、何処に行こうか……。また別の場所を探さないとならなくなったし。と言って今度は彼女と一緒だし。相変わらず火山系は苦手だし……。


後々嫌でも行く事になったらしょうがないか。




 う~ん、どこ行こう?


ミネルザさんに聞くといろんな場所はあると言ってました、ただどこもモンスターや傭兵や兵士や騎士は居るようで。さて、困ったどっちに進路をとろうか?悩みますね。




「まずはあの山の向こう側に行かないか?いや、行きたいな♪」




え、あの山のってその方向にあるのは氷山ですが?何かあるんですかね?


ま、まあ彼女が気を使って提案してくれました事です。そんなに違和感はありませんけどね。なるほど、氷山の裏側ですか…。それなりに出現するモンスターが色々居そうですが。


 なるようになれ、ですね。行ってみましょうか、モンスターに出会うのか。はたまた人に出くわすのか……。こればかりは時の運。行ってみなければ始まらない。行きましょう!私は頷いて飛翔しようとしました。


あれ!?雲に覆われたのか、見えていた筈の山が見えない……。




「こっちの方向だ♪」




 彼女が指を指してくれました。優しい……。私は早速頷いて、指さす方向へと飛翔を始めました。


 不思議なものです。こちら側からすると、今や人間は後々脅威になりかねないと言うのに、私としては敢えて攻撃する気になれない。むしろこちらから手を振って、仲良くしたいと思う私……。


しかしです、どんな大変な事態が起こったとしても元の世界が恋しいと言う訳ではありません。


何故って、彼女が出来たんですよ!私にとっては元の世界より彼女大事!別れるなんてあり得ない。それがたとえ龍の姿であったとしても……。




「クスっ、意外と方角は苦手なんだ♪」




 バ、バレてる……。私は顔を赤らめながら、とぼけて真っ直ぐ前を向いたまま、さりげなーくその場をやり過ごしていました。


 ふうっ、やはり彼女の笑顔は素敵です…………………。

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