龍に転生した私が惚れられました♪♪
麗紫 水晶
第1話 ♪♪♪プロローグ♪♪♪
♪♪♪プロローグ♪♪♪
ん~~~~。眩しいな、朝かぁ。じゃあそろそろ起きますか。今日は日曜だし、仕事休みだし。
あ、と、と。ごめんなさい。私は“皇すめらぎ 雅人まさと”30才後半のおっさんです。いろんなゲームにハマっている男です。
勿論仕事はしてますけど、暇さえあればゲームををやってます。はたから見れば大丈夫!?的に見られてもおかしくないぐらいにハマってます。昨日の夜からも、早速やり始めて朝方まで。流石に少しは睡眠をとらないと、睡魔に襲われ気味なり、指捌きに支障が出ては面白くない。と、仮眠をとる事にしたのです。
で、結局爆睡だった訳ですが、さあて起きようか……。続きを頑張らねば……と、おもむろに身を起こ……?ん!?何か物凄い違和感が………。
な、なんだこれ。首が気持ち伸びた?しかも口と鼻の先が伸びてない!?さっきから四つん這いになってる気が………?
って、はあぁ!何でしょう、この立派な翼は………?蝙蝠の羽を巨大化したような……あ~あ、大層な尻尾まであるし。それも自分で動かせるし、両手と呼べるものは前足になっていて前爪3本後ろ1本。後ろ足も同じ感じで、太さや筋肉質の差はあります。しかも今いるこの場所も、自分がいた世界の自分の部屋じゃないのが良く分かります。何故なら、自分の部屋ではなく岩山の上です………。ここ、何処!?
いや、翼や体躯を見る限り白銀で翼膜に赤い紋様が入った龍なんですけど!顔は水面か鏡でも見ない限り分かりませんが、私の知る限りでは、ゲームにすら登場していない龍かと。
確かに私も龍は好きですよ、ただいくら龍が好きとは言えど、私が龍自体になってしまうなんて…………結構良いかも♪
あら、周りを良く見たらここは山の山頂で、見下ろせばかなりの下の方に草木が生い茂っているのが見えます。道理で、風が通り抜けてスッキリ感があると思った。まあ、周りに誰も居ないから良いんですけど。
おっと、まずは取り合えず翼を動かして……、おぉ!動かせるぞ!ほぅ!こういう風に動かすとホバリングできるのか。おぉ、見晴らしが良い。龍の種によってはこんな空を拝めるんだな。絶景だ!
さて、今度は降りてみようか。あぁ、なるほど。こうやって降りてこればいいのか。もと居た地点に降りて来ましたけど。う~ん、優雅に降りられるな。私にはない貫禄と言うものでしょうか……ん!?あそこを通りすぎて行くのは数頭の馬に跨がる兵士らしき人達……って装備がそれらしいので間違いはないでしょう。それに馬車も連れている。走って何かから逃げている感がありますね、あれか?その後ろを追いかけているのは………何だありゃ!?1つ目の顔で体躯は人の倍はありそうな巨人、サイクロプスか!?知ってはいましたよ、ゲームやファンタジーは好きなのでそういうモンスターも。でもお目にかかるのは初めてです!しかも3人がかりで、とげとげの棍棒を振りかざして追いかけて来ればさすがに逃げますよね。力が半端ないでしょうから、殴られたら大怪我もしくは……。でも龍って目が良いんですね、ここからざっと800m先の所にある道を走ってます、それが見えるなんて……。
どうするか……助けに行こうか……、と言って龍になってる私が押し掛けても良いのかな?助けに行って逆に攻撃されても困るし……。
あ、馬に跨がる騎士らしき一人が他の兵と馬車をそのまま逃がして立ち止まりましたよ。おお、剣を抜いて迎え撃つつもりだ。って、ええっ!女性の騎士さん!?う、うそっ?美人だ………こほっ。
こ、これはいかんよ!助けに行かねば。と言っても私の能力が何なのか分かっていないですが……。
ええぃっ!ままよっ!くわえてでも、蹴ってでも追い払えば良いんだ!やってやろうじゃないか、おっさん本気にさせると恐いんだぞ!龍ですけど。
「た、隊長っ!」
「ここは、私が食い止めるっ!お前達は姫を城へっ!!」
「し、しかしミネルザ様っ!?」
「行けっ!姫を無事に送り届けるんだっ!急げっ!」
助太刀せんと隊長に声を掛けていた兵士が、辛そうな顔付きで、馬を後ろに向けさせます。
「どうか……、御無事で……っ!」
兵士達と馬車が走り去って行きます。残った騎士さんも、それを見届けると追いかけて来る巨人達に向き直りました。1体4m近いマッチョな体躯で1つ目小僧……じゃなかった、1つ目巨人サイクロプス。
その3体が凶器の棍棒を振りかざして向かって来ます!1体が、大声で叫びながら棍棒を降り下ろしていました。しかし騎士さんも簡単にやられはしない、上手くすり抜け足を斬りつけていました。その激痛に地面に崩れ落ちます。2体目のサイクロプスが、棍棒を降り回し彼女が剣で受け流します。
「し、しまったっ!」
あまりのパワフルな巨人に腕が痺れて剣を弾かれてしまった、万事休す!!
その時です、私が颯爽と現れたのは。カッコイイかどうかは分かりませんけど……。地面に巨大な影が現れて、その場を一旦通り過ぎます。それに気付いた彼女がサイクロプスが上を見上げたんです。
マリンブルーの髪のロングヘアで、綺麗な顔立ちのナイスバディ♪可愛いいじゃないですか。
私は上空で旋回して、サイクロプスに向かっていきます!サイクロプス達も私に驚いて慌てて元来た方へと逃げ出します。私は後ろ脚の爪で1体をワシ掴みにして飛翔し、森の中へ放り投げました。お~~~飛んでった……じゃ、もう1体。
ホバリングで方向を変え、逃げ惑うもう1体をワシ掴み。恐怖でパニックになって暴れている巨人を同じように森の中へ……消えていきました。残りのもう1体は片脚を引きずりながら森の方へと逃げていきました。
「ど……どうなってるの!?」
何故!?と困惑した顔全開で私を見つめてます。よく見ると益々可愛いし綺麗……。
ゆっくりと、彼女の目の前に降り立ちます。彼女の乗っている馬がおののいて暴れそうになりましたがなだめてました。で、彼女も観念したのか、襲って来ないと理解したのか馬から降りて来たんです。
私に恐れが無いのか、意外と堂々としてます。ただ、相変わらず剣は構えたままでどうして助けてくれたのかと疑問の表情。
う~ん、困った……私も降り立ったのは良いけど考えたら会話が出来ない……。話が通じないのは参ったな、何かいい方法は……あ、文字!?でも、この世界の文字なんて分かりません。何か試しに書いてみる?私は地面に爪でこっちの文字を想像しながら書いてみました。すると古代文字!?じゃなかったですが、イメージと違う文字が書かれていきます。私もビックリ!
(初めまして。大丈夫ですか?)
「なっ……!?」
彼女も地面に書かれた文字を見て尚ビックリ!!手で口を覆って絶句してます。という事は、この世界の文字に変換されてる!?分かって貰えるなら良いんですけど。まあ誰も龍が会話できるとは思ってませんよね。話が出来るかどうかも分かっていないのにね。
「は、話が通じるのか!?」
(その様です。)
「な、なんて事だ……。」
(あ、腕に怪我を……。)
「へっ……。」
なんでしょう?私、自然と前足の指を、彼女の腕に負った傷にそっと触れたんです。何も意識してません、ただ治してあげたいなと……。するとどうでしょう、傷口が塞がるどころか傷跡すら無くなったんです。私……何者!?って龍ですけど。
「うそ……!?」
当然、彼女も驚いてます。私もスキルや属性が何なのかさっぱり把握して無かったので。でも、傷を治せるって……マジ!?龍だからって何でもありか!?ま、お馬さんもビクついてますし戻るとしますか。
(良かった、それじゃ。)
「ありがとう……。」
信じられないのと嬉しいのと入り交じった感情の返事をしてきました。私も尻尾の先をピコピコと左右に小さく振って返事をすると、更に驚いてます。その彼女を尻目に私は飛び立ちました。一気に良い高さまで上昇し、飛翔を開始します。そんな私をずっと見つめている彼女の姿がありました。
いやぁ、良い眺めだね~。今日は晴れているせいか、フィールドも良く見える。さて今度は、どの場所に行こうか………。飛翔しながら、ふと横を見ると先程の道の先に城下町が見えました。奥側に城があります。なるほど、あそこの騎士さんだな。あ、ちょうど馬車が門をくぐって行くのが見えました。無事に着いたようですね。後は彼女が戻ればOKでしょう。
さて、何処に向かおうか……。あ~あっちには火山らしき……いや火山か、見えますけどちょっと嫌かな。ずっと熱いのはちょっと……。かと言って反対側を見れば、あれ氷山か!?雪山どころか氷の山が見えます……。氷漬けも……彫刻にされても……ねえ。別な方向を見れば、普通の山が見えますが……頂上付近がクレーターになっていて大きな湖になってる……良いなそこ。よし、そうしよう!その山へレッツゴー!……。私は翼を羽ばたかせ、一直線に飛翔していきました。山の頂上を目指して……。
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先程のお城では私の知らぬところで大騒ぎ。龍が現れてサイクロプスを追い払った!などと連絡があるものだから、王城内もそこにあるギルドも大騒ぎ。私が転生しているなど誰にも分かるはずがなく。水浴びできそうと山の頂上に急ぎ向かっていた訳で。
しかし、あの女性騎士さんが私と会話をしたと言う情報は流れてなかったようです。私にも分かりませんが?なぜ、彼女がそれを伏せているのか、心までは読めません。
「しかし、龍に殺されなかったのが幸いだったな。」
「おう、馬車が離れないうちに攻撃されてたらと思うとゾッとするぜ。」
「しかし、ミネルザ隊長も運がいいな。だが、姫様を危険に晒したと謁見の間に呼ばれたそうだ。」
「まさか、姫様を守るべく我々を先に行かせてくれたのにか!?」
「どうやら、姫様が怖かったと喚いたらしい……。」
「おいおい、無傷で助かったって言うのにか!?」
何だか複雑なようで……。勿論、私には分かるはずもなく……水浴び~~!と勇んで山の頂上の湖へと飛翔してました。
でも、彼女がなぜ会話した事を伏せていたのか……。後々に私も理解する事に……。
それで、特別クエストが出たようなのです。私が特殊な龍とされてしかも、捕獲せよというクエストが……。
ま、それは後で知った事なのですが。
おおう!やっと着きましたよ。頂上に。おおっ!私が浸かってもお釣りが来るぐらいに大きくてそれなりの深さがある。更に驚いたのが、そこの水が澄んでいて透明度が半端ない!底まで見えて凄く綺麗……。これは暴れるのはちょっと止めとこう、凄く勿体ない感が……。なるべく濁らさないようにゆっくりと入ろう。私は意を決して、尻尾から片脚……反対の脚……前脚……右翼……左翼……全体……ふうっ!何とか極力濁りを抑えた。でも、気持ちが良いんだけど動けない……。私って……間抜け!?
だけど、なかなか距離があったな。いくら飛べると言っても限界は知っておかないといけないだろうな。しかも、他のスキルや属性も確認する必要があるし……。
今度は、飛翔加減を考えながら飛ぶことにしよう。少しは体の使い勝手が分かって来たぞ。と言ってもまだまだ未知の部分がいっぱいあるけど。
私はゆっくりと湖から上がると、ちょうど休める程のスペースがあり、そこに座ります。
(今日はここで休むか。ここならそう簡単に襲われる事も無いだろうし、空から襲われれば別だけど。)
私は、少しそこに寝る事に。まさか、また彼女に出会うことになろうとは……。
ん!?なんだ?私の尻尾を触る者がいる。いや、他にモンスターが居るなら咆哮で私を叩き起こすでしょう。では一体誰が……。身体を動かさずに片目をすこーし開けて、尻尾の方を見てみると、1人の女性の後ろ姿が。
いつの間に……。しかも1人?尻尾をさするだけで、攻撃してこない。んん!?その姿はもしかして昨日の?一体どうされました!?城でお仕事中じゃないのですか?
はて?頭だけを起こしてみましょうか……。私はゆっくりと頭を起こして彼女を見下ろしました。
「わっ!す、済まない。起こしてしまったか?」
頭を横に振ると、そうか……済まない……と寂しげな表情を見せました。何があったのか……。
しかも何しにここへ1人で来たのかが分かりません。危険を冒してまで、ここに来る意味が分かりません。
どういうことなのか……。
私が色々考えながら彼女を見つめていると、彼女が急に照れながらこんな事を言ってきたのです!
「私は……あなたの事が好きになってしまった♪……ダメかな……?」
は、はい!?今なんとおっしゃいましたか?あ、あの…わたし仮にも龍なんですけど!分かってます!?しかも今回でまだ2度目ですよお会いしたの!そりゃ、サイクロプスから守ってあげましたけど、惚れられるってどゆこと?天変地異の前触れか!?
い、いや、ダメじゃないですけど!! 急に告白されて初めてなんであたふたしてて、私は顔を左右に小さく振って、彼女を見ると照れながらにっこり微笑む彼女が………マ、マズイ……か、可愛い♪ちょっと!なんでこういう時なの、モテ期が!!せめて人の時にして欲しかった………ガクッ。
私は、そんな事を恨めしく思いつつ、彼女を改めて見つめていました……………。
とまあ、これが始まりです。どうなるかは……、私も彼女も分かりません。でも、一緒ならば………と思う私達でありました………………。
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