タイトルなし 210424
お久しぶりです。私です。ええ、ぴんぴんしている。うんざりするくらい体調は良好だ。少しはそれに精神面も引きずられてほしい。
さて、人生に行き詰った私の目の前に伸びる二つの選択肢について。
自殺か、殺人か。自分だけで物語を終わらせるか、他人を巻き込んで続けるか。
結論から言うと、まだ私は誰も殺していない。よい報告ができず残念だ。
迷った私は、いつもと同じ方法で決めることにした。このコインは、センター試験を共に戦った鉛筆と同じくらい、信頼のおける相棒だ。表が出たら自殺、裏が出たら人を殺す。放り投げたコインがスっと立って用意された2つのいずれでもない、なんていうご機嫌なことにはならず、裏が出た。腹は決まった、問題はどうやって殺人者として生きていくかだ。
殺人者と言っても様々な人種がいる。個人的な感情に任せた殺人、あるいは金目当ての殺人、信条や宗教のための殺人、戦争、暗殺、趣味まで、十人十色だ。では自分はどれにあたるのか。私にとっての殺人は何にあたるのか。
このままだと、無難に怒りに任せた行動と言ったところだろう。世間から孤立した不適合者の自暴自棄と、その世間は評するはずだ。だが、無難すぎる。別にこの分野で名を挙げようというわけでもないが、気持ちよく仕事ができるのが理想なのは間違いない。それに仮にも一時期は(一方的にではあるが)ロジカルシンキングをたたき込まれた身だ。やはりここは相互にメリットのある取引を目指すべきだし、その手段が自分のできることと重なっている方が好ましい。有名なWCMの関係で言うと、
Will(したいこと)=現状からの脱却
Can(できること)=イージーな殺人
Must(相手に求められること)=???
と言ったところだろう。Must要件さえ満たせば心置きなく人を殺せる。殺し屋になってしまえば、「殺すのが難しい相手を殺すこと」がMust要件になる。投資ハードルが高い上に、おそらく業界は飽和しているだろう。駆け出しに向いているとは思えない。
ふと思った。「もしかして誰もが自分と同じような課題を抱えているのでは?」うざったらしい言い方をするなら、ニーズのジャストアイデアだ。あるいはオーガニックな経験から生まれたインサイトと言ってもいいかもしれない。シンプルにまとめるならこうだ。
死にたいけど死ぬ勇気がない人っているんじゃない?
あり得る。というか、これについては過去にいくつか報道されている気がする。自殺志願者を殺す、優しいんだか趣味が高じすぎたのかわかりかねる人種。まさか発想のレベルでは同類になるとは。
しかして、このアイデアはなかなか無視できない。なんといってもクライアント自身が殺人というメソッドに対して肯定的なので、サービス提供のハードルはウンと下がる。「死にたい」というニーズを叶えているのだから、こちらとしても目覚めも悪くないはずだ。顧客は消費者になるので、営業活動を慎重にしないと取り締まられるマーケティング上のリスクこそあるが、それは殺し屋になろうと同じ。つまりこれは、「よいビジネスモデル」なのではないだろうか。
このようにおおよそ同じ発想に至った者が辿ったであろう自己肯定を蒸かしてみたわけだが、結局罪悪感はぬぐえても警察に見つかればそこで終わり。私としても面白くない人生へ逆戻りだ。では証拠を完璧に消したらいいかと言うとそうでもない。例えばあなたに「私、メリーさん。殺し屋なの!」という電話がかかってきたとしても、最初からは信用しないはずだ。言ってもいない自分の居場所にズンズン迫る異常性と、「過去に同じような電話を受けて殺された人がいる」という過去実績があってようやっとメリーさんは恐怖の対象となる。つまり、ある程度そういう人殺しがいることはうすぼんやりと匂わされていないとそもそもアポイントに結びつかない。しかもこの場合、資料をまとめて事前に送るなんてことができるわけでもない。その時点で通報されたら終わりだ。
つまりこの
死にたがり殺しサービス
の立ち上げにあたっての当座の目標は
自分を特定されない範囲で、そう言うサービスがあることが認知されていること
であり、そのために必要なアプローチは
ある程度大きな事件でのプロモーション活動
ということか。
あとはプロモーション活動、つまり目立つ殺人について考えればいい。これは忙しくなるぞ。
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