第2話 奉公先
大叔母(Aちゃん)が奉公にあがったのは、大きな農家だった。主人とその妻、舅姑、子供が8人くらいいて、女中が複数いたそうだ。
そこは、実家からはそんなに離れていなかったそうだ。でも、家には帰れない。実家では妹が悠々と暮らしているのに、自分は借金のカタに他所の子たちの子守をするんだ。貧困家庭でもないのになぜかと思う。
Aちゃんは、日中小さい子どもを背負っているが、泣きやまないと怒られる。あやしながら、小さい子たちの世話もする。奉公先の子供たちは、意地悪で大変だったらしい。ねえやと慕われるような感じではなかったとか。
食事は家族が残した物を食べた。しかも、叩かれたりの虐待があったそうだ。最初は子守だけだったが、次第に家事の手伝いも加わり、早朝から夜遅くまで働かされたそうだ。大叔母がいたのは、かなり当たりの悪い家だったのかもしれない。
ある夜、Aちゃんが疲れ果てて、寝ていると襖がガタガタと揺れる音がした。Aちゃんは地震かと思ったが疲れていたのでそのまま寝ていた。家が壊れてしまったら、どっちみち潰れて死んでしまうんだ、と思っていたそうだ。
起きずにウトウトしていると、戸がザッと音を立てて開いた。暗いから何も見えないが、誰かが入って来たのはわかったそうだ。Aちゃんは怖かったが寝たふりをしたそうだ。
隣では女中さんたちが寝ている。みんなよく寝ていて、誰も起きない。
すると、誰かが自分も枕元までミシミシと音を立てて歩いて来る。
Aちゃんはギュッと目を瞑った。
すると、その何かはずっとAちゃんを見おろしていたようだった。
何となく見てはいけないような気がして、そのまま目を瞑っていたら、眠気に勝てず寝てしまったそうだ。
奉公 連喜 @toushikibu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。奉公の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます