第10話 夏祭り(花火と七夕祭り)

 岐阜県大垣市に「水祭り」として行われたのが昭和11年から。

太平洋戦争で中断。終戦が昭和20年。空襲などで焼け野原になってから祭りを再開したのが昭和23年。


 (すごいですよね。焼け野原になってから3年後に祭りができるようになるなんて。先人に感謝です。大垣市には揖斐川電気、鐘紡紡績、住友通信工業などの軍需産業の工場があり何度も空襲がありました。大垣城も含め市内の大半が焼失して、建物が残った物は石造りだった大垣駅だけでした。当時の写真が残ってますが、遠くに見える大垣駅以外はいくつか石造りの建物があるだけ。よくぞ生き延びたものです。隣の岐阜市の空襲では甚大な被害を受け多くの方が無くなりましたが、大垣市では死傷者が奇跡的に少なかったのは、少年兵が「焼夷弾の火は消せない」と軍規に反して一般人の避難を優先させた証言があります。当時の大垣市の人口56000人中死者が50人。負傷者約100人。爆撃機数:90機。投下焼夷弾:約20,000発。当時はうちの両親は疎開してました。)


 祭りの名前を「水都祭り」と変えて8月上旬の木・金・土・日曜日の4日間に開催されるようになりました。


 祭りを再開した年の7月「大垣花火大会」が行われ、以降毎年7月下旬に行われるようになりました。(花火のための火薬を集めるのが苦労したとか、戦地で亡くなった花火師も多く、花火職人を集めるのも一苦労したそうです。


 今では七夕祭りや万燈流しなどもイベントが多く、日系ブラジル人との盆踊りなども行われている大垣市ですが、当時の苦労は何物にも変え難いものだったのでしょう。


 七夕まつりは①本町通に七夕飾りが行われ、南北の通りに屋台が並びます。②駅前祭り(本町通と平行して一本離れた通りでメイン通り)駅前のサークルまでの祭りで)。③水門川祭り(水門川という大垣城の内堀であった川)での万燈流し。


 ということで3つの祭りが合同した祭りだったのです。


 



 話は小学生時代に戻します。


 花火大会は7月下旬(夏休みの話と前後しますが)暑いとはいえ夕方になれば河原の堤防では涼しい風が吹いてます。当時はまだ屋台もなければトイレも無い状態。


 家からは父親の運転するオート三輪に乗って祖父の家の前に停めて、そこからは歩きです。


 父、母+弟、が運転席。後ろの荷物部分に私と隣の洋服店で働いているお姉ちゃんとお兄ちゃん(父親の会社で働いてる職人)兄妹の3人。食べ物や飲み物、ござなどを載せてました。当然、トラックの上に人を載せてはいけないのですが、当時は昭和。おおらかなものでした。


 父親の会社の若い衆ふたりに場所取りさせてあるので、そちらへ歩きますが、すでに周りは真っ暗。懐中電灯で見るもののなかなか見つかりません。


 なんとか辿り着いてゴザを敷き、大きな風呂敷で包んだ握り飯や卵焼きなどを食べながら花火の始まりを待ってます。


 昨年までは花火は家の前の床机に座って麦茶を飲みながらうちわで煽ぐだけだったのが、隣の洋服店で働きだしたお姉ちゃんと駆け出し職人のお兄ちゃんを歓迎するのもあったのでしょう、一緒に花火を見る事に。


 場所取りの若い衆も一緒に握り飯片手にいまかいまかと待って。。



 ぽん!


 しゅるしゅる~~。


 


 。。。



 ド~~~ンンン!


 腹の下から響き渡る轟音で、飛び上がるほど びっくりしました。


 河原から風がやってきて、周りが煙で真っ白に。



 ぽん!


 しゅるしゅる~~~~~~。


 先ほどより長い。


 



 。。。。。。。。。。




 ドド~~~~~~~~ンンンン!!!




 真っ暗だった河原で見える人の顔。顔。顔。

今ではくっきり見える。

さきほどまでビックリした顔をしてたのが

今では皆。すごい!という嬉しい顔をしている。





◇◇◇◇





 帰りの道で


「すごかったね。と~ちゃん。」


「やっぱり近くで見ると違うやろ?」


「うん。家の前で観るのと全然違う。音がお腹の中で鳴ってるみたい。」


「そうか。そうか。」

と日頃笑わない父が私の返事を聞いて喜んでるようだった。







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