第7話 お盆休み②

 徐々に他の家族がやって来て5家族程になった頃に、母親たちはお盆の準備を始めます。祖母の采配で台所でご馳走を作るのです。


 父親たちは蔵から盆提灯などを運び込んで蜘蛛の糸や埃が被ったのを掃除をします。蚊帳も外で掃除をして壊れてないか点検して干します。


 年上の従兄弟と私達子供は釣りなどで遊びます。


 お盆の準備が済み、大広間へご馳走が運ばれお盆が始まります。


 うちの家族は4~5日ほど滞在して毎日お参りしましたが、用事で早く家に戻ってしまう家族もいました。祖父と祖母はそれ以前にも決まった日にはお参りしてたようです。


 私も覚えてる限りでも、団子の日。おはぎの日。そうめんの日があったような気がします。


 そうめんの日は数本だけカラーそうめんが入ってるので、自分のそうめんに何本色付きのそうめんがあるのか楽しみでした。



 お盆と言えば、蚊帳です。

うちの家にも蚊帳はありましたが小さかったです。

この別荘の蚊帳は天井までの高さが高くて、かなり広い蚊帳でした。布団が3枚か4枚並んで置ける大きさで、床にゆったりぴったりくっつく長さがあり、蚊が入らないようになってました。出入りはさっと上げて通り抜け、さっと下げれば蚊は入りません。


 田舎だからか、泥棒もいないので夜寝る時は戸を開けて蚊帳だけでいればとても涼しかったです。逆に夜中になると寒いくらいで戸を閉めたようで、朝気付いた時には戸が閉まってました。


 ブタだったか、タヌキの陶器の入れ物に入った蚊取り線香が、縁側のそこかしこに置かれて蚊から守られてました。




 生け簀に冷えた桃やスイカ、瓜、トマトは祖父が丹精かけて育てたからか、とても美味しかったです。




 盆明けに別荘から帰る時、祖母がハイヤー(当時はハイヤーでした。)を呼んでくれてハイヤーに乗り込み後ろから祖母を見ると、姿が見えなくなるまでずっとこちらを見て手を振ってくれてました。


 ほんとに優しい祖母でした。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る