第6話 お盆休み①

 お盆休みは母方の本家の別荘で過ごしました。


 別荘と言っても祖父の実家だった家を建て直して、裏にある畑にブドウやスイカ、枝豆、トウモロコシなどを栽培してました。


 祖父の家は元々水飲み百姓で、近くに住む親せきの田圃を使ってたくらいお金に困ってました。小学校しか出てない祖父は相当優秀だったらしく、当時の先生から是非、上の学校に行かせてほしいと両親に頼むほどでしたが、水飲み百姓ゆえにとても上の学校に行かせるだけの学費が無く、小学校卒業と同時に働きだしました。


 その当時は、戦争前で鉄が必要で、祖父は古いリヤカーで鉄くず拾いを始めます。それから徐々に事業は大きくなり、使用人も増えて株式会社にして戦後には地元財界では立志伝中の人物になり、3人の息子に事業を分けた後すぐに引退。別荘で畑で作物を作り出したそうです。孫のためにブドウやスイカやトウモロコシを作るのは引退したらやりたかったことなんでしょう。



 和風の庭には孫たちが遊べるように芝生を植えて転んでもケガしないようにしました。

 縁側の前には雨の日でも遊べるように半透明な屋根をつけたサンテラスを作り、孫である私達はテラスの枠組で雲梯の様に遊んでました。


 裏の縁側には小さな池があり井戸が掘られてあり、そこから冷たい水が流れ出るように生け簀が段々になってて、下の生け簀にはスイカや桃、きゅうり、瓜、トマトなどが天然の冷蔵庫のように冷やしてました。


 トウモロコシはコウリャンという種類であまり甘くなかったけど、醤油をつけて焼くと美味しかったです。


 祖父は孫たちが来るのを毎年待って、川で釣りをするための準備をしてくれてました。仕掛けや子供用の小さな竿は竹を切って作ってくれました。

 それぞれのための餌箱を木っ端を使って作ってくれました。


 とても優しい祖父で、一度も怒ったことがない祖父でした。



 和風の庭の向こうには蔵があり、そこには本家の蔵に収まり切れなかった物がありましたが、中を探検するのはちょっと怖かったので入らなかったです。


 祖母も優しい人で、いつも台所にいるイメージしか無いです。

大広間で家族皆がご飯食べたりしてても、祖母だけは台所で何かと忙しく働いててました。


 いつも三女であるうちの母親(私達一家)が一番先に訪問して、最後まで滞在してました。長男長女一家はそれぞれ会社を持っていたので忙しかったのでしょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る