第101話 死神と生き神

2022.7.1

昨日は帰りがけにコンビニに寄り、スミノフを買い、帰宅途中から飲んでいた。


まずは手に入れたデパスを10錠、放り込む。

薬のシートをくわえながら夜中に歩く女なんて、頭おかしすぎる。まぁ、私のことだ。


デパスをスミノフで流し込んで、屋上に登る。

お次はサイレースの出番だ。1錠ずつ、ラムネを貪るように、ゆっくりと飲んでいく。


足を欄干からプラプラさせて、空を眺める。

最近の習慣と言っても良いだろう。


あとは誰かが背中を押してくれさえすれば、私は無事に屋上から飛び降り「既遂」ができる。


が、自分で自分の背中を押すだけの勇気がない。

薬の力を借りれば、できるんじゃないかと思い立った。


屋上で聴くのは、いつも決まってX JAPANだ。


いつもいつも、Tearsを聴いている。

なんとなく、今の自分とリンクする。


なんとなく、気持ちよくなってきたあたりで、何故か旦那に見つかった。

どこまでもうざいやつ。


死神がいるとしたら、お前は生き神だ。

どっか行け。


生きることが正義で、生きることが善で、生きることこそ全て、みたいな生き神なんて私にはうざいだけだ。


同じ病気になれば旦那も自殺未遂の1度や2度やらかすだろう。

何も知らないくせに、生の世界で私を引きずり回す。


生きてて楽しくないなら、何の希望もないなら、死んだっていいじゃないか。


と私は思う。

死神と友達になりたい。

楽に逝ける方法を教えてほしい。


そんなこんなで引きずり戻されて、旦那のベルトで首を吊ってみたけど。

オエーってなったので頓挫。

もう少し、柔らかめの素材で、さらに薬の力を借りれば、どうだろうか。


もしくは、エアコンの付いていないクソ暑い部屋でODして熱中症という手もある。


死ぬとか、自分を苦しませる手段ならいくらでも思いつく。


仮に、神が私に何か才能を与えたのなら、そういったものかもしれない。

全くいらない才能。


まぁなんというか、俯瞰的に病気のせいなのだろう、とはどこかで思ってはいるが、一生これと付き合っていかないといけないのなら、私は死を選びたい。

そこまでして生に執着する理由はない。


悲しい病気だ。


旦那は「死ぬな」と言う。


でも、それで思い留まれるのなら、双極性障害患者の自殺率はもっと低くても良いのではないかと思う。


つまりは、どんな言葉も、届かない病気。

自分で自分をコントロールしない限りは、そのうち自殺してしまうだろうと私は思っている。


なので、今回のことを受けて、私は今後の人生をどう生きていくかを考える必要があると思った。


私の死因はほぼ7割方、自殺だろうと思う。


「うっかり死んじゃいました」みたいな感じだと思う。


自分の病気について、もっと世に広く知ってほしい、カミングアウトしやすい世の中になってほしい、働きやすくなってほしい、そんな風に思う。


あとは、どうせ自殺してしまうなら、好きなことやって、死のうと思った。

まぁそれくらいでしょうかね。


私の死生観。



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