第32話 マウント女

2022.5.10


朝からしんどいなと思いながら何とか職場に着く。


今日は、心療内科の定期受診日だ。

早上がりして、今は時間を潰しながら、徒然とこの日記を書いている。


受診の前には、何を話すかを整理してから受診に向かう。


ところで、私の周りには何人かマウント女がいる。

1人は、一緒に不妊治療をしていたA女。

もうひとりは、彼氏が大手ゼネコンに勤めるB女。


私は、双極性障害の診断が下りる前は、不妊治療をしていた。

なかなか子どももできないし、何かもういいや、なんて思っているうちにガチ鬱になって自殺未遂をした。


普通なら、「もういいや、子どものいない生活を楽しもう」ってなったら、その後めでたく妊娠、みたいなストーリーじゃない?


私の場合は、はるか斜め上。


そんな感じで、同時期に不妊治療をしていたのがこのA女。4回目の人工授精で、めでたく妊娠。今は14週らしい。


「ねぇ、お腹出てきたかな?」


「お寿司もローストビーフとか大好きなのに食べられない〜最悪〜」


「あ〜片付けてスペース作らなきゃ、子どもいると大変〜」


等々、まぁ本人は舞い上がって意識なんてしてないと思う。待望の妊娠だから。


私にとっては遠い遠い話だ。

生理も乱れて、薬を替えて、安定するまで薬の調整して…どれくらいかかるの?


チクリチクリと心に刺さる。

心を無にしてるけどね。


何だか、どっと疲れてしまう。


もうひとりのマウント女Bは、中途で4月に来た、2年目。23歳。実家暮らし。


1つ上の彼氏は大手ゼネコン勤務で、お高いスポーツカーに乗ってるとか。


たまたま恋愛の話になった時に、


「ゼネコンってわかります?建築系なんですけど…」


「建築かぁ、家とか建てる系?」


「違うんです〜うちの彼は、もっともっと規模が大きくて〜、駅とか作ってるんです〜」


「はぁ(よくわからん)」


「しかも〜、1日通しでずっと仕事の日もあるし〜、なかなか会えないんです〜(ぴえん)」


「大変やねえ(もしリアルなら労基法違反じゃん、ねぇわ〜)」


といった具合に、彼氏自慢をしている。


デートの話になると、


「あっちが忙しいから〜、いつもご飯食べてホテル直行って感じなんです〜」


B女よ、それは彼氏ちゃう。セフレや。


しかもホテル代も折半だとか、完全に都合いいセフレじゃん。


このゴールデンウィークは1日も会えなかったとのこと。

セフレだから他を優先したんだね、わかりますよ。


B女は西野カナになっている。

会いたくて震えてるんやな。風邪ちゃうか?


マウントを取りたがる人間というのは、総じてその人そのものは大したことない気がする。

中身が空っぽ。


中身のぎっしり詰まった、薄皮の鯛焼きみたいになりたい。

あ、つぶあん希望です。


マウント女に翻弄されないように気を付けなきゃ。


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