第11話 ご機嫌取り

2022.4.26


習い事が終わって、疲れて帰ったら、ケーキがテーブルの上に置かれていた。


結婚記念日をさっぱりと忘れていたお詫びのつもりだろう。

気休めの、ご機嫌取りのケーキ。


ケーキがあれば女は喜ぶと思ってる。

ケーキで喜ぶのはマリー・アントワネットくらいだ。

パンがないならケーキを食べればいいじゃない、ってやつ。


別に旦那のことが好きだから、じゃない。

ただ、私なんて祝う価値なんてないんだ、とか頑張りが足りないから、となってしまった。


ゴキブリ並にだらしない旦那と共存するために、いろいろと試行錯誤して居心地の良い家にしよう、とか美味しいご飯を作ろう、とか思っていたけど。


もう頑張るのやめよう。


結婚記念日を忘れ去られたこと、そんなことごときで気持ちの波が大きくブレる。


旦那からしたら、こんなお荷物と結婚記念日なんて祝いたくないよね。

自分でもわかってるから、また悲しい。

現実をパシッと突き付けられた感じ?


次に生まれ変わる時は、こんな病気じゃなくて、「普通の人」になりたい。


まぁでも、もはや人間じゃなくていい。

自由な鳥になりたい。

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