第2話 時間は過ぎても一日は終わらない
「木村、俺と付き合って欲しい」
「ごめんなさい。凄く気持ちは嬉しいけど、それに
は答えられない。…友達以上になるのは…無理なの」
「そうか」
「ごめん」
そして、再び、ある日の放課後。
「俺、好きなんだ。付き合ってくれないか?」
「えっ?…ごめんなさい……気持ちは嬉しいけど…それには答えられない」
「そっか…分かった」
そして―――
「なあ」と、垣村君。
「何?」と、クラスの男子。
「アイツってさ告白されるの多いの?」
私を見ながら話す。
「あー、木村?ああ。今迄、何人、何十人と告白されてるけど全部断っているんだと。高1から、男から告られるの変わってねーよ」
「へえー」
「気になるの?」
「いや、別に」
「そう?でも、その断り方が、赤い糸で結ばれてないからって言われるって。メルヘンかっ!って思うけど…ある意味不思議ちゃんなのかもな?」
「そうか。サンキュー」
《確かに言ってたよな…赤い糸のどーのって…》
「バカバカしい話…」
ある日の事。
「垣村君♪」
《うわ…出た…赤い糸女…》
「何だよ」
「ねえねえ、今度デートしよう♪」
「は?デート?誰と?」
「垣村君と私で」
「やだ!」
「良いじゃん!」
「いや…お前、相当、告られてるらしいじゃん!そいつらとデート日替わりで行けよ!」
「やだ!何、その、取っ換え引っ換えな言い方良くないよ!」
「知るかよ!お前に告るんだから、お前の男と変わんねーだろ?俺にとばっちり喰らうのごめんだし」
「私は、垣村君と行きたいだけど?」
「……じゃあ分かった。付き合ってやるよ。10時に○○の所で待ち合わせ」
「分かった」
そして、当日。
雲行きは、余り良くない状態の待ち合わせ。
しかし、垣村君は現れる様子などなく、私は、とにかく待っていた。
1時間……
2時間……
時間は刻一刻と過ぎていき、
―――PM 1:00―――
空から雨が降ってきた。
「…雨…垣村君…私の事…からかったのかな…?」
私は雨の中、ぼんやりと佇んでいた。
雨脚は強くなり、私は、待ち合わせ場所が見える雨宿りの出来そうな場所を見つけ、ただ、ただ、待っていた。
来るはずないと思いつつ――――
数時間後、雨も止み、
時間は、
――PM 4:00―――
雨宿り場所から離れ、元の待ち合わせ場所に行く。
日は暮れていく一方、再び雨が降り出してきた。
「また…雨…変な天気…」
私は雨に打たれつつ、待つ。
「…あれ…?雨…」
「お前、マジで馬鹿?」
「…か、垣村君!?」
「お前、この雨の中、ずっと待ってたわけ?」
「約束だから。それに時間は過ぎても、まだ、一日は終わってないよ」
「……その馬鹿正直も程々にしろよな!」
そう言うと帰って行く。
「……帰っちゃうんだ…でも…どうして来てくれたんだろう…?」
私は、垣村君の背中を見つめる。
すると、振り返る垣村君。
「何してんだよ」
「えっ…?」
「風邪引くぞ!ちなみにデートする気、一切ねーから帰れ!」
「そっか…わざわざ…それを言いに?」
「別に」
「………………」
「…ありがとう…」
「えっ?」
「来ないって思っていたから…それじゃ…帰るね」
私は足早に走り去った。
次の日。
案の定、風邪欠。
《やっぱり…》
「ねえねえ、知ってる?木村さん、昨日、雨の中、人と待ち合わせしてたみたいで、ドタキャンされたっぽいよ」
「相手現れなかったんだ。私だったら、すぐ帰るけど」
「普通そうだよね」
私の事が言われていたなんて知るよしもなく。
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