Red String
ハル
第1話 赤い糸
『赤い糸』
神様だけが
知っている
赤い糸
自分では
全然わからないし
見えるわけでもない
だけど………
もし……
見えたら……?
赤い糸は
一本じゃなくて
たくさんの糸から
たった
一本だけ……
一本だけが
つながっていて
真実の愛が
見つかる
あなたは
誰と
『赤い糸』で
つながっているのだろう…?
「悠霞(ゆか)ーー、起きなさーーい。遅刻するわよーー」
階段下から叫ぶママの声。
私・木村 悠霞(きむらゆか)。16歳。
私は、不思議な事に、あるものが見える。
お化けとか、そういうのではない。
そんなものじゃなくて
人間には見えるはずのない
『一本の糸』が見える。
だから、その糸を信じて運命の人を見つけて
幸せ家庭を築いてって……
まだまだ16なのに
そんな先々の事ばかり。
「行ってきまーーす!」
「あっ!こらっ!!悠霞っ!」
「ごめんなさーーい」
パンを口に入れ、走って学校に行く。
イマドキ珍しい光景だろう?
キーーン…
コーーン…
カーーン…
コーーン…
「ギリギリセーフ!」
その日の放課後、帰ろうとした時だった。
「木村悠霞さん」
一人の男の子が声を掛けてくる。
顔は、そこそこな人。
悪くはない。
「はい?」
「ちょっと…良いかな?」
「はい」
私は連れ出されるまま、後を追う。
「木村さん」
「はい」
「俺……君が好きなんだ!」
「えっ…?あっ…」
「友達からで良いので付き合って欲しい!」
「…ありがとう…でも…友達以上は無理だと思うけど…」
「えっ?」
「右手の小指出して下さい」
「えっ…?右手の小指…?」
スッと手を出す男の子。
「あの……何?」
「赤い糸って…信じる?」
「えっ…!?あ、赤い…糸…??」
「そう!あなたと私は赤い糸で結ばれてないから、私、恋人として付き合えないの」
「………………」
「変な事、言ってるけど、私、本当の事を言ってるだけ」
「何か…良く分からないけど……それじゃ」
「うん。……彼の赤い糸は…誰とつながっているのかな?」
私にしか見えない
『赤い糸』
これ本当なんだ
バカみたいな話なんだけどね♪
それから数ヶ月がすぎ、私のクラスに一人の転入生が来た。
「垣村連(かきむられん)です。宜しくお願いします!」
彼の人気は高かった。
私は、取り敢えず、自分の小指の糸を辿っていくと…ピーーンっ糸が張る。
《えっ…!?》
その糸は垣村君と繫がっていた。
《赤い糸…の相手…嘘…見つけた♪》
そして、垣村君は、自分の席に向かう。
その日の彼は、質問攻めで、彼の存在は一気にモテモテ君となるのだった。
その日の学校帰り――――
「見ぃ〜つけた♪」
グイッ
垣村君の腕を掴む私。
「うわっ!な、何だよ!」
「ねえ。赤い糸って信じる?」
「は!?赤い糸?」
「うんっ!」
「信じるかよ!」
バッ
振り放す垣村君。
「あっ!」
後を追う私。
「あのね。私と垣村君、赤い糸でつながっているんだよ」
「は!?バッカじゃねーの?だいたい、何処にそんな証拠あんだよ!」
「証拠は…ない」
「…意味、分かんね」
垣村君は、足早に去った。
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