23
夜廻三が終わった。と、言ってもストーリーをクリアしたというだけで、アイテム集めや後日談的なものはまだなのだが。
というわけで、今作の感想をざっくりと。
今作はただストーリーをなぞるだけじゃなく、途中で色々考察をしながら進めた。そのせいだろうか、ストーリーそのものは可もなく不可もなく、といったところか。過去二作のような明確な終わりに比べれば、その点ではあまり後味は良くないだろう。もっとも、理由はともかく神様なんてものにあれほどがっつり関わって、なお五体満足で帰ってこれたのだから十分に奇跡と呼んでも差し支えはないだろう。むしろ少女のように、いずこともしれない場所へ消え去るのが自然なのかもしれない。まあ、終盤の死亡フラグの乱立っぷりはもういっそ清々しいとさえ感じたが。
難易度は、全体的に今作はやや難しめになったかと思う。特にボス戦にその傾向が顕著であるが、その一方で道中というか普通の町を探索する分にはあまりお化けが出てこないのはよかった。ただしデカっ面、テメーはダメだ。
総合的にはほぼ初代とイコール、深夜廻には劣る、といったところか。今後のDLC次第ではまた評価が変わるかもしれないが、今はこの位だろう。そういやツチノコがいないな。
制作時間の短さは事前のインタビューで既に出ていたため、それを踏まえると色々と至らないところも見えてくる。あえてここで言及することもないが、次作があるのならその点は改善してくれると嬉しい。……その時、こちらの精神が保つかは分からないが……。
あと、今作には前作主人公達がいないのが少し残念だった。いや、普通に考えれば出てくる方がおかしいのだが、前作の例があるので今作も密かに期待はしていたのだ。ことも先輩はまあ、昼でも見えるようになっただけで祓う方法は持ち合わせていないみたいだから大変だろうが、ハルちゃんなら神のハサミを持っているうえに左腕がその神に切られているから、鬼の手とか黒龍波とか撃てるようになっててほしい。まあそこまでいったら世界観が台無しだが。あと、よまわりさんがいつ出てくるのかびくびくしながらプレイしていたのだが、そちらもストーリー中には出てこなくてしょんぼりした。パズル完成後の絵には描かれているらしいが。
以下、各ステージについて述べる。
○学校
雰囲気だけなら作中でも一、二を争うほど最恐。ボス戦も序盤から行けるところにしては難易度が高めで、感覚的には五番目か六番目の舞台だろう。後日談で狐の面がもらえることから、どうやら狐ではあるらしい。一瞬見える耳と尻尾もそれっぽいし。
○商店街
学校ほどではないが、ここも雰囲気だけなら十分に不穏。しかもアイテムから読み解く限りでは、原因が人間の悪意によるものだからある意味一番やるせない。なお、クリアした後にはキモ可愛い道塞ぎさんが戻ってくる様子。ただしお化けの数もかなり多いので探索には少々骨が折れる。
○棚田
全てがヤバい。難易度、雰囲気、そして背景と、全方位で救いがない。助けてくれたカカシには人骨が使われてるし、封じられてるのは赤ん坊の霊な上にそれが犇めきあっているのだから。しかもそれが人の都合で近年まで行われていたようなので、本当に救いようがない。
ゲーム的な難易度はそこまで高くないが、ボス戦だけは攻略法が分からないと延々と死にまくる上に特定のポイントを越えていないと、そこまでの流れを繰り返さなくてはならないので辛い。画面のグロさもあって二倍辛い。
○船&岬
個人的にはもっとも楽かつ好きなステージ。このステージだけゲーム性が他と異なり、お化け退治が可能となる。これだけで心理的不安が大分解消される。
岬での水の怪異は場所によっては詰みかねないくらい強敵だが、それ以外は難易度も高くはない。ボスの癖は若干あるものの、きちんと隠れながら攻撃を見極めれば問題はないはずだ。
カメラをくれた幽霊は正直いつ変貌するかとヒヤヒヤしたが、結果的には最後まで味方でいてくれた上にボス戦では武器をも渡してくれたりとものすごくいい人だった。
そして、カメラ一発で沈むボスは流石にどうなの?と思った。三発か四発は必要だろうと思っていただけに、個人的には夜廻三最弱のボスだったと思っている。
○トンネル~廃村
背景がヤバいやつその2。見た目の不気味さに反して要所さえ押さえておけば難易度はそこまで高くない。墓参りの時に出てくる雑魚が一番鬱陶しいか。ただ、あからさまにヤバい場所にいるということで精神的にはなかなかくるものがある。こちらは味方が敵だったりするので余計に厄介だろう。ボスは正直強くはないけれど、ビジュアルの圧がすごいので全体的に精神をすり減らしやすいステージではある。
今回の件のいくつかはこの村が原因なんじゃないかと思う。まあ、卵と鶏、どちらが先かの問題かもしれないが。
○港町
まあそれなりに雰囲気は醸し出しているのだけれど、どうにもクトゥルフ然としているせいであまり恐怖感はなかった。ステージ自体も分かればそこまで難しい訳でもないので、意外と難易度は低めであると思う。
ただしボス戦だけは結構難易度が高い。主に視覚に対して攻撃を仕掛けてくるので、苦手な人はとことん苦手だろう。
結構変わったギミックが多く、これを中心に構成してもなんかいけそうな気はする。
○竹藪~人形屋敷
港町とは反対に和風ホラーの王道といった趣だった。この辺りは開発しようとした形跡があるが、放置されているということはまあ駄目だったんだろう。森の神にでも祟られたか?
雰囲気は学校以上に飛び抜けているが、意外とボス以外の殺意は低めである。いつのまにかもとの場所に戻っている、なんてまさに怪談だが、それだけにらしいといえばらしい。ただ、地蔵ワープは普通に使えるため、より雰囲気を出すなら帰れなくなってもいいかとは思った。
屋敷も難しい訳ではないが、これでもかというほどの人形と不穏なシミで、精神力を削りにきていた。これは前の住人がやったのか、それともボスのせいなのか判別がつかない。
ボスも、棚田ほどではないが変貌した後のビジュアルがなかなかエグい。しかもそれがそれなりの速さで迫ってくるのだから本当に焦る。まあ、恨みとかじゃなくただ遊びたかっただけなのだろうから、少々やるせないものはあるのだが。
○森
怖いというよりは、ただただ不思議な場所というイメージが強かった。前作のラスダンと比べれば大違いである。時間すら超越した場所……というより、現世とは時空の繋がりかたがおかしくなっている、あるいは一定ではないのかもしれない。
そして今回のラスボス……手や目こそあれ、ほぼ球体でおよそ人に関わる神という感じがしなかった。なんとなくだが、人よりも自然や理といった方面に近しいのだと思われる。
そして、ラスボスだけに攻略がめんどくさい。簡単に突破されないためだろうが、死ぬと最初からなので辛かった。とはいっても、神の姿自体はこの時まだ完全には出てきていなかったため、あと一戦位は覚悟していたらそのままエンディングまで直行でちょっと拍子抜けはしたが。
まあ、前二作とは違って奪われたものを返して欲しかっただけみたいだから、その点を見れば決して邪悪の塊とかいう訳でもないのだろう。そういう意味では、祀られなくなって荒ぶった初代とあまり変わらないのか? 深夜廻のアイツはダメだが。
まあこんなことを言ったって、所詮それは人の側から見た事象でしかない。神には神の理があるのだろうし、それを人が理解する、できると考えるのは少々おこがましいのかもしれない。
長々と語ってきたが、夜廻系の話もこれでとりあえず仕舞いとするか。新たな展開が出てこない限りは、な。
呪いを乗り越え、多くを失いつつも朝日を見た主人公。
その胸中にあるのは新しい世界への展望か、それとも夜闇のなかに失われたものへの回顧か。
それを知るのは、ただ本人のみである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます