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袴姿の幽霊の後を追うと、意外とすぐ近くに件の焼却炉があった。嫌な予感がしつつも開こうとするが、赤い手形に驚かされて後退すると同時に巨大な怪異によって道がふさがれてしまい、焼却炉には近づけなくなってしまった。

仕方ないので一旦退くと、今度はどこからか何かを叩くような音が・・・・・・。手がかりもないので音の元を探しに行くと、鍵のかかったバリケードの前で袴姿の幽霊が突破しようと体当たりを繰り返していた。……幽霊なのに鍵に阻止されるってどういうことだよ? 考えられるとすれば「鍵がかかっている」という事自体が一種の結界のようなものなのかもしれない。少なくともこの霊に関しては。

とはいえこちらもどうしようもないので来た道を戻ると、墓にしがみつくお化けがじい~っとこちらを覗き込んでくる。とりあえず避けて通ろうとした時、焼却炉前をふさいでいた怪異がここにも出現して完全に閉じ込められてしまった。

ひとまずあたりを見回すと、木の根元に赤い花が咲いておりそれを一輪だけもらってお化けがしがみついていた墓へ供えてみる。すると墓にしがみついていたお化けも、通せんぼをしていた怪異も消えていった。

その先へ進んでみるが、どうやら段になった墓地らしく火の玉やらポルターガイストに加え、顔を隠した陰陽師じみた怪異が徘徊していた。まあ陰陽師の方は決まった道を巡回しているだけの上にこちらへ反応もしないので見た目に反して大したことはなかったが。ちなみに火の玉には三回、ポルターガイストには一回殺されました、はい。

さて、ここには主に三種類のお化けがいた。一つは墓前に花を供えるタイプ。一つは湯呑に水を汲んで供えるタイプ。そして最後の一つは……なんとお金を投げ入れるタイプである。それらをすべて終えると、焼却炉前の怪異が消えていった。よく見ると手にお金を持っていたので、もしかしたらお金だけを備えればよかったのかもしれない。ちなみに花を供え終わると古い恋文が、水を供え終わると黄ばんだ新聞がそれぞれ手に入った。

新聞の方には、集団感染、閉鎖という文字が。そして恋文の方には、病気だろうと君のためならなんでもするというようなことが書かれていた。そういえば鍵がかかった場所の掲示板に、なんとか村跡地、立ち入りを禁ずとあった。それらを複合して考えると、ここにはかつて村があった。子供を生贄にするようなクソみたいな村だが。しかし数十年前くらいに疫病らしきものが流行ったとされ村は封鎖。その時袴姿の幽霊は村側に懸想している人がおり、なんとしてでも村へ入る方法を探していた。だが結果として村は滅び、恋文も指輪――おそらく結婚指輪だ――も渡せなかった。そして何者かに殺害されてしまい、以来未練を抱えたままこの世をさまよっていたというところか。殺害したのが生きている人間か怪異の仕業かは分からないが。

ところで疫病とあったが、正直この村の環境から本当に流行り病であったとは考えにくい。なんらかの儀式の失敗か溜まっていたものがあふれだして人の手に負えなくなったというのが真相っぽく思える。……前回の射影機といい零シリーズに近いな今回。

とにかく怪異も消えたので焼却炉を調べてみると、奥に鍵があるらしい。


なかにはいる?


いやいやいや、これうかつに入ったら燃やされる、絶対燃やされるやつやん。火かき棒やヒカキボルグとかないんか?

一旦引き下がるも、調べないと進まな双だったので一度お地蔵さんにお祈りしてから再挑戦する。鍵を手に取った瞬間、バタンと焼却炉の扉が閉まった。

ああああああああああだよねそうだよねそうなるよねえええええええいやああああああああああああ暗い暗い暗いいやだいやだいやだ燃やされるうううううううううぎゃああああああなんか手がまた画面にはりついてるじゃあねえか勘弁してくれよおおおおおおおおおお狭い狭い狭い燃える燃える燃えるううううううううううう。

……そうやってひとしきり心中で騒ぎまくっていたら、なんとか燃やされることなく外に出ることができた。これ、もし幽霊たちのイベントを消化しきっていなかったら途中で本当に燃やされていたとかあるのかな……?


とにもかくにも鍵は入手し、あのバリケードへ向かう。そこではまた袴姿の幽霊がヘドバンを繰り返していたが、いざ開けようとする段階になって急に血を壁にぶちまけてそのまま消えてしまった。後には指輪が残されており、幽霊としても力尽きてしまったのか、それとも殺されてしまったことの再現だったのか。

さて本当なら主人公にはこの先へ行く意味は無いはずだ。落とし物をしたのはそもそもトンネルの中のはずだし、ましてや鍵でずっと封鎖されていた場所に探し物があるとはふつうは思えない。まあでも行くしかないんだろうなあ、そういう常識にとらわれたところで、待ってるのはどこにもつながっていない先だけなのだろうし。


果たして、昔に滅びた村で主人公を待ち受けるのは何なのか。森の木々はただ静かにその姿を見守るだけだった。

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