17

地図にあった港方面に少し向かってみる。そろそろタイトルにもなっているアイツが来てもおかしくはないかなーと思っていたが、開幕袋詰めはまだなかった。もっとも今回は影も形もないし、そう思わせるタイトルというだけなのかもしれないが。

地図が示すほうへ来てみたが、踏切が下りていて通ることはできなかった。その手前にはなんだかしなびた貝殻のようなものが落ちている。どうやらこれが七つ目の記憶の鍵らしく、これで場所の手掛かりはすべて集まったことになる。

家に戻ろうとお地蔵さんへ向かう途中で、あの袴姿の幽霊がまた襲ってきた。思わずトンネル方面へ逃げるも、距離を離すとワープして距離を詰めてくる。ついにトンネルの直前にまで来てしまい、例によって主人公が転んで指輪を落としてしまう。そこへ袴姿の幽霊が多少落ち着いた様子で指輪へ近寄り、その場所でかがむと指輪と共に消えてしまった。ふむ、なぜかは知らないがあの場所にあっては触れることができなかったのだろう。

主人公が指輪がなくなっているのを確かめると、今度はその後ろに出現してトンネルの向こうへと消えていった。

すぐに追うべきか迷ったが、まだ見ていない記憶もあるので一旦家へ帰ることにした。


貝殻の記憶は、暗い穴の思い出。どこか海辺の神社で遊んでいるときに、なにかを穴の中へ落してしまったらしい。穴をのぞき込んでいると、やはり何かを見てしまったのか主人公が慌ててその場を離れていった。

ここにきてようやく本命と思しき記憶にたどり着き、期待が膨らむ一方で危険な気配も一入である。波の音や潮のにおいがしたらしく、おそらくは海に通じているのだろう。そこに潜む怪異だけでなく、単純に暗くて足場が悪く潮の満ち引きまで関わってきそうな場所だ。ホラーでなくとも危険だから入りたくはない場所である。状況が状況だけに四の五の言っている余裕は無いのだが。


ともかくこれですべての手掛かりがひとまずはそろった。竹藪、トンネル、暗い穴。どれをとっても過酷な道のりになりそうではあるが、進まなければ永遠にこの夜にとどまったままだ。

そういえば、と廃ビル屋上に何かよくわからないものがあったはずだと記憶している。今行くべきかといわれると多分違うのだろうし、行けばおそらく人面鳥と対峙することになるだろう。

とりあえずダメもとで行ってみた結果……はい、見事に何の手立ても打てずに殺されました。

いや、二撃目あたりまでは普通にかわせるんだけど、次の攻撃まるでカメラのファンインダーを閉じるかの如く何か赤いものが迫ってくるんだけど、それに対する手段がてんで思いつかない。目を閉じようが視線から逃れようが移動し続けようがとりあえずできそうなことを試してもいっさい効果があるように見えない。何らかのアイテムか対抗手段を見つけてこないとどうしようもないパターンだろう。

それにしても……やっぱりこいつ鳥じゃねえよ。あと戦っている最中に端に何かよくわからないものが居て触れるとこれまたミスになる。もしかすると、呪いが解けなっかたら主人公もアレの一部になってしまうのかもしれない。


今はなんともならないため大人しく尻尾を巻いてその場から逃げ帰り、とりあえずトンネル方面へ向かう。初代のトンネルはラスダンの入り口であり、怪獣大決戦の現場でもあったが、それゆえ何が起こるのか本当にわからない。そもそもトンネルの先に何があるのか、それ以前に先があるのかさえ分からない。

中に入るとあの袴姿の幽霊が途中にいたて何か記事を落としていった。確かめてみると男性が焼却炉で死亡、犯人はまだ見つかっていないとのこと。ああそれで……と納得がいく。男性の顔がやけに暗かったのは、おそらく焼け死んだ影響なのだろう。

そこでまた赤い手形がバシバシとトンネルの壁に浮かび上がり、なんか低いうなり声にも似た音が聞こえてくる。今のところお化けの気配はないが、気味が悪いのには違いないのでさっさと通り抜ける。


トンネルを抜けた先は、意外と普通の道が続いていた。それをたどっていくと、袴姿の幽霊が案内するかのように先々へと立っている。それを目印に進んでみれば、墓石が見えた。どうやらここは墓地らしい。手前にお地蔵さんがあったので祈っておこうと思ったら、ポロリと首が取れた。ああ、うん、あったねそういうの。

幸い奥のほうに別のお地蔵さんがあったため、そちらでセーブして一息つく。ここにも使用禁止にはなったらしいが焼却炉があるようで、袴姿の幽霊が連れてきたところからここが事件現場であるのはほぼ確定でいいだろう。

そういえば墓地自体はホラーの定番であるけれども、夜廻シリーズではあくまで道中扱いでメインの舞台ではなかったように思う。だからと言って怖くないわけじゃないのだが。


丑三つ時、死者の眠る地はただ静けさと共に夜やみの中に佇んでいた。

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