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さて、意気込んだはいいものの別に除霊ができるわけでもないし、せいぜいが沈静化くらいだろう。そう思って挑んでみたのだが……
ぅゎょぅじょっょぃ
いや別に幼女と決まったわけでもないが。腕の判定が結構分かりにくく、根本に触れて死亡というのが結構あった。一番厄介だったのは序盤の最後、腕をぶんぶん振り回しながらこちらに迫ってくるやつで、これがとにかく判定が広い。終わりの方に分岐があるからそこに逃げ込もうとしたら別の腕の根本に触れて死亡。触れない程度に避けようとしたらしっかり腕の範囲内で死亡。目を閉じてもまったく効果はない。
ならばとカカシバリヤーに一縷の望みをかけるも効果が発動する前に腕に捕らえられてしまう。この塩梅だと効果はないのだろう。
万事休すかと思い、どうしたものかと首を捻っているとふととある考えに思い至った。
あれ?このカカシフェイクなんじゃ?
となると、カカシを掴もうとすることこそ間違い。だが、カカシから先はキャラ一人ぶんしか幅がない。これが間違っていたら、いよいよ攻略サイトのお世話になるしかないと試してみたら、暴れん坊の腕は鼻先で虚空にかき消えていった。
ふはははは、やはり赤子、詰めが甘いわ(震え声)
おそらく最大の難所を越えたあとはさほど難しいこともなかった。各所にカカシを差して周り、最後の行き止まりの社で最後の一本を差すと蠢いていた赤子の霊達が軒並み消え、洞窟には静寂が戻った。そこへ事の始末を待っていたかのようにカカシが対岸へ渡るための板と共に降ってきて、まるで労うかのようにカタッと傾いた。結局終わってみれば、なんだかんだイケメンムーブかましてたような気もする。何となくだが、このカカシ単体でも事態を収拾できたような気がしなくもない。ただ、それでも人間に事の始末をさせたのは、人への戒めの意味も含んでいたのではないかと思える。その辺りは当の本人に聞かなければ分からないが、生憎とカカシに口はないため語られることもないのだろう。
洞窟の奥を抜けた先は、棚田を一望できる丘?崖?だった。そこに、先ほどの赤子達のものと思われる慰霊碑があった。ここまでの道がほぼ忘れられていたことから、永い年月の間誰も来ていなかったのだろう。主人公が一輪の花を添えると、背後にいつものように記憶の鍵……今回はクローバーのしおりが落ちていた。
それはおそらく、掲示板を見た後の記憶。休憩所のベンチになぜかぽつんと置かれているウォークマン。聞いてみるものの、肝心の内容はほとんど分からずただ、約束だからねという言葉だけが聞き取れた。急に誰もいないところから空き缶が投げ込まれ、驚く主人公で記憶は終わっている。
いつにもまして不可解な記憶である。というより、何か別のものを雑に置き換えたような感じがする。これ、本来は少女との会話の記憶だったのではないだろうか。それがなぜこうなってしまっているのか……少女が消えかかっているのと何か関係があるのかもしれない。そして、この記憶をきちんと紐解くことができたのなら、その時こそ呪いを解く方法が分かるのかもしれない。そう思わせるような内容だった。
次は海方面へ向かう。またあの女性が導くかのように浜辺へと向かう。先にあったのは古くなった船。幽霊船の気配がひしひしとするが、ためらってる余裕など無い。
中を覗くと荒れ果てた内装が主人公を出迎えた。ここで急にライトが付かなくなる。代わりにポツポツと花火?の筒のようなものが用意してあり、どうやらこれを使って進むらしい。ちょっと進むと床に置いてあったテレビが唐突についた。ふむ、マヨナカテレビかもしくはテレビを通って移動か?
さらに進むと、今度は水っぽいやつが出現した。これまた目を閉じても効果はなく、ンドゥールか何かかと愚痴りたくなる。しかしこいつ、どうやら光に弱いらしく光っている花火の近くではただの水に戻るらしい。
それを利用して進むと、床に読み物が。何か目がどうとか書いてあったが、まあ予想通りこの船は本来沈んでいるらしい。海に関する怪異ってなんだ? 大入道とかダイオウイカとかか? 何かあったような気はするが、あまり詳しくないので今一つ心当たりがない。
一番端の操舵室まで進むも、鍵がないので立ち往生することに。仕方ないので戻ろうとした矢先、あの水の怪異が複数体出現した。主人公が逃げようとするも、そちらも既に塞がれており、まごうことなき万事休すに陥る。え? これまじ無理じゃね? そう思った瞬間、急に強い光が辺りに広がり、収まった時には水の怪異は一つ残らず消滅していた。なるほど、こいつは強い光を当てると消滅してしまうのか。
そしてそれを成したのはフィルムを巻き取るタイプの古いカメラ。
……うん、これ絶対射影機ってやつだよね。あっちのシリーズはプレイしたこと無いけど。
何はともあれ、ついに怪異に対して有効な手段を得た主人公。ここぞとばかりにお化けどもを消して回る。そうそうこれ、これだよ。こういうのがやりたかったんだよ!
いやまあ、終始これだったらそれはそれで夜廻の、引いては和製ホラーのコンセプトとは何か違うってことになりかねないから、ずっとは無理だろうけど。
似たようなことは前作でさんざん思ったわけですよ。
あのハサミで怪異どもをゴーストバスターしたいと。終始逃げ回るしかできなかったお化けどもに、どこぞのSDKよろしく一泡ふかせてやりたいと。
案の定ここら辺はハクスラだの別ゲー始まっただの言われていたが、まあ一つぐらいこんなステージがあってもいいだろう。
入口付近まで戻って怪異を殲滅すると、予想通り鍵を入手する。ここからデッキにでも出るのかと思っていたら、いきなり船が揺れ出した。どうやら動いているらしく、これには少し焦った。幽霊船が運ぶ先なんて、地獄の入口か黄泉への旅路か、いずれにせよろくなもんじゃない。
しかも窓の外には、この船を沈めたであろう巨大な化け物が、いくつもある目玉でこちらを睥睨していた。本当になんだこいつは?
しかもカメラは転んだ拍子に船の亀裂へ落としてしまい、対抗手段も失ってしまった。
外から船内へ、光が点滅する。それはまるで雷光のようで、直感的に物陰へ逃げ込む。次の瞬間、それまでとは比較にならない程の強い光が辺りを焼いた。船を沈めたことといい、これまでの奴らよりも相当ヤバそう……とは思えなかった。いや、規模だけで言えば狗や学校の怪談とは比べるまでもなく、赤子の霊達と同等かそれ以上さえありうるのだが、隠れて進むタイプのせいか自分のペースでやることができ、追われる焦燥感とは無縁なのである。その要素であろう水の怪異も、光によって始末されるのでさほど問題ではない。結果的にあまり労せずして突破することに成功。外に出ると巨大な化け物はおらず、どこかは知らないが浜辺にたどり着いていた。
砂浜ではあの女性の幽霊が、手招くように奥へと消えていく。
ここが彼岸でないことを祈りつつ、連れてきた意図を確かめるべく謎の場所へと歩を進めるのだった。
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