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門の探索は後回し。だってやばい気配しかしないんだもん。そんなこと言ってたら、この町自体がやばいじゃねえかって話なんだけど。

とりあえず今まで探索していなかったところを調べてみる。なんか空き地っぽいところに貝のお化けがいた。それも青、緑といたため、絶対どこかに赤がいるはずである。ポルターガイスト……もはや霧のお化けとでもいった方がいいかもしれんが、まあヤツが相手なら問題はない。ちょっと耐久が高くてめんどくさかったが。

商店街に少しよってみたら、お地蔵さんのすぐ横に首吊り幽霊が三体も嫌がった。置き幽霊とか殺意高いなおい。

ついでに頭蓋骨の場所もみようとしたけど、なんか姿は見えないけど子供のお化けらしきやつが陣取っていて手が出せなかった。姿が見えてればワンチャンあったかもしれないが、まったく見えないのはちょっと困る。学校の裏でやられたのもこういうわけだったか。というか、今まで気配のある幽霊が光に照らされてもまったく見えないというのは初めてだ。仕様なのか不具合なのか、少々判断に困るな。


ひとまず地図の右下、海へつながる方面へ進んでみることにする。海方面への入り口らしきところに、貞子的な何かがホイッスルの近くに立っていた。不気味っちゃ不気味なんだけど、それ以上になんかポーズがホイッスルを指差して、ここ、ここだよ、みたいな感じでちょっと笑ってしまった。とりあえずホイッスルを回収して町の右へ向かうと、今度は途中にうなだれてる袴姿の幽霊がいた。なんか呻いているため不気味で仕方ないが、近づくと細い路地の向こうへ消えていった。まさか細い路地の中でいたいけな子供に対してなんやかんやするタイプか? そう思ったものの意に反して路地を抜けた先にも袴姿の幽霊はいなかった。

左の方は家への帰り道だったため、右の方に向かう。途中高い石垣のところに出る。城か武家屋敷の跡地かと思っていたら、突如キャーという叫び声と共に女性が落ちてきた。しかしこのパターンは前作で既に経験済みである。落ちてきた女性の霊は、落ちてきたままのポーズで地面をのたうちまわっていた。流石にこれはちょっと滑稽というか、恐怖すらなく一体何やってんの? という有り様である。しばらくして女性の霊は消えていった。その先はまた灰色の世界だったため、一旦引き返す。このまま進めばどうなるのか気にはかかるが、それは別の機会にするとしよう。

石垣の途中にあった階段から上に上がって進むと、あの袴姿の幽霊がいた。指輪らしき物の前で立ち尽くし、近づくとがっくりと膝をついて消えてしまった。なんだかひどく心残りがあるような感じで憐憫を感じずにはいられない、それと同時にそんな思い入れがありそうな物品を拾って大丈夫なのかという考えが過るが、これもまた記憶の鍵であったらしく、ホイッスルと合わせて場所の鍵はこれで6つになった。


記憶を見返してみると、ホイッスルは海辺でのことだった。笛の音が鳴り、今度は汽笛の音が響く。主人公が走り去ると同時に、謎の船がダイナミック入港していた。

指輪は、どこかのトンネルのようだった。少女と二人で入ったようだが、忽然と少女は消えてしまう。トンネルの奥からなにかの唸り声が重く響き、壁には血塗れの手形がいくつも叩きつけられた。これは学校の時と同じように思える。

それにしても、『手』か。前作も前々作も、それは物語に大きく関わってきた。これが単純にホラー要素の定番としてなのか、それとも何か大きな意味を持つのか。仮に後者の場合、手がないヤツとは必然的に違うことになる。やはり、真の黒幕が存在するのだろうか。

それと、少女に関してもちょっときな臭くなってきた。彼女は本当に、主人公と同じ時間と場所に『生きて』いるのだろうか? それとも、まだ何か忘れていることがあるのだろうか。


その糸口は、暗闇の中でうっすらと口を開けていた。

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