8

学校をクリアし、自宅へ戻る。ただ、まだ見てないところも多いし、いずれあそこにはもう一度戻りそうな予感もある。なんにせよまた訪れることになるだろう。

アイテム欄を見てみると、なんとこっくりさんに使った五円玉がなんとただの葉っぱになっていた。それで、なんとなく得心がいった。七不思議にからかわれたと感じていた理由。こちらを一息にやろうとせず順番に出していく七不思議。そりゃあ、狢に化かされていたってんならそれも納得である。それこそ、狐狗狸さんだけに。ほんと、君らの遊びは時として洒落にならないんだよ、もう。本当に心臓に悪いなあ。


家から再スタートし、右上の方へ向かう。ビー玉の回想の中に、廃ビル入口の横に本らしきものが落ちていたのだ。それには町の民話が書かれており、コトリと呼ばれる人面鳥が町の中で物を盗む人間を監視している、という。ふむ、今までの行動と矛盾はないか。なぜそんなことをしているのか、という疑問は残るのだが。

そこから別のビル方面へ行こうとするも、周囲はあの灰色の世界のままだった。代わりに付近を探索すると、道端からボール?毬?のようなものが飛び出し、川へと消えていった。ボールの方は回収できなさそうなので、転がってきた方へ向かってみる。そこにはこけしのようなものが落ちており、思い出の手がかりのひとつだった。

どこかの古い屋敷の庭で、先程のボールを主人公が誰かに向かって投げ返していた。相手は画面外で分からない。その内主人公がその相手の方へ近づき、驚いたような素振りをした。ここてようやく相手が何なのか気づいたと思われる。踵を返して走り去ろうとする主人公に、後ろからボールがぶつけられ、その拍子に何かを落とした。うん、事情はともかくこいつはシバこう。

それでも主人公は立ち上がって庭の出口へと駆け、そこにはまたあの少女がいた。

庭には結構な数のこけし?が置いてあり、まあこれもまた嫌な予感が止まらない。複数置いてあったということは、死んだ子供の供養とかそういったものだろうか。


とりあえず、目的地を探して夜の町をうろつく。右下に進んでいくと、途中で地面に書かれた線路を発見……。ええ、今回はさっさと回れ右ですよ。

そうして画面の下の方へ向かうと、いつの間にか商店街の近くに来ていた。記憶の鍵となる黒い犬も現れ、ひとまずこちらを進めることにする。

犬は他にもおり、彼らは何かに対してしきりに吠えていた。その様に頼もしさを覚える反面、こんな複数の犬に吠えられ続ける存在とは何なのか。それを思うと、背筋を冷たいものが撫でた。


止まない犬の遠吠えが深夜の町に響くも、夜は未だその重い緞帳を下ろしたままだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る