第16話 大妃の思い

「大妃媽媽。今日は焼菓子を作って

見ました。お口に合うと良いのですが」


「昭訓の作る料理は全て美味しい。

そなたのような清い心を持っている

娘が世弟の側に入れば安心ね」


蘭が世弟の側室になったことで

蘭のするべきことは大きく変化していた。

世弟の母である大妃に挨拶をし

料理や舞い、裁縫など日頃の成果を

大妃に見せる。通常なら月に一度

決まった日時に来ることを許されるが

蘭は特別にいつ来ても良いと許可

されている。


「提調尚宮から報告は受けていたが

そなたは何でも丁寧にそして

思いを込めて作っているのだな。

この王宮内でそなに敵うものは

いないだろう」


「私などまだまだです、大妃媽媽」


「もっと自信を持ちなさい、昭訓。

これは世弟にも話していないが

そなたを良娣に推薦しようと

思っている。そなたに世弟嬪の

補佐を任せる 」


良娣は従二品の位で側室の中で一番

位が高い。従五品からの昇格は前例が

少なく、それを大妃が認めることも

稀だった。昭訓は驚きの余り何も言え

なかった。


「世弟嬪媽媽の補佐など、私のような者が

出来るはずが・・」


「そなたはもうただの女官ではない。

世弟の側室従五品の位を与えられた。

そなたに今必要なのは権力だ。

最近良媛や世弟嬪の動きが気になる。

昭訓のままでは危ないのだ。

この件は私から世弟に伝える、よいな」


「はい・・大妃媽媽媽媽」


大妃に念を押され反対出来るはずもない。

昭訓は世弟宮へ戻った。


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